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核の“憲法” 核兵器不拡散条約(NPT)

核軍縮・核不拡散を進める国際的な体制は、今どのようになっているのでしょうか。

ここで、関連する条約ごとに現状と課題を整理しておきます。

核問題を巡る議論のベースとなっているのは、核の“憲法”とも位置づけられる核兵器不拡散条約(NPT)です。

NPTは、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5か国を「核兵器国」、それ以外の国を「非核兵器国」とし、 (1)これら5か国から非核兵器国への核拡散を防ぎ、 (2)核兵器国に核軍縮交渉を義務づけ、 (3)原子力(核)の平和的利用を図ることを目的としています(1970年発効)。

5か国のみを「核兵器国」と認めたことは、すでに地球上に核兵器が存在しているという現実を受け入れたものであり、そのような前提に立った上で世界が着実な核軍縮・核不拡散を目指していく“憲法”のような存在です。

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9.11で現実味を帯びる“核テロ”の脅威

2009年4月5日、米国のオバマ大統領がチェコのプラハで行った演説「核兵器のない世界」に、世界中の注目が集まりました。

東西冷戦時代、旧ソ連に対抗する形で核開発をリードしてきた米国が強い意思を表明したことで、核軍縮・核不拡散に対する国際社会の期待が一気に高まったからです。

オバマ大統領は演説で、ロシアとの第1次戦略兵器削減条約(START I)の後継条約交渉開始、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准追求、核セキュリティに関するサミット開催などに前向きな姿勢を示しました。

そして、これらの方針は今、様々な形で動き出しています。

こうした世界的な機運の高まりに至るまでには、いくつかのきっかけがあるとされていますが、大きな要因の一つは、2001年に起きた米国同時多発テロ事件(9.11)です。

9.11後、世界各地で大規模なテロの惨劇が繰り返されています。

このことは、テロリストが核兵器を入手し、核テロを起こす懸念が以前よりも増していることを意味し、米国の有力者たちを核軍縮・核不拡散の一層の推進に向けて動かしたとされています。

国際原子力機関(IAEA)による保障措置

NPT体制を支える仕組みが、国際原子力機関(IAEA)による保障措置です。

保障措置とは、「平和利用目的」の原子力施設などが、「軍事目的」に転用されないことを厳密に確認することで、核の拡散を防ぐものです。

NPTの非核兵器国は、IAEAとの間で保障措置協定を結ぶことが義務づけられていて、これにより不拡散が実現します。

度重なる北朝鮮の核実験とミサイル発射

以上のような体制で、国際社会の多くの国々が核軍縮・核不拡散を目指す一方で、残念ながら、その流れを遮る動きを見せている国・地域があります。

その一つが、日本にとって最も現実的な「核の脅威」となっている北朝鮮です。

核兵器不拡散条約(NPT)から脱退する意図を表明して核保有を宣言し、弾道ミサイル発射や核実験を相次いで実施したりするなど、日本を始め、北東アジアや世界全体の平和と安全を脅かしており、日本としてはこれを断じて容認することはできません。

しかし、北朝鮮は2009年5月25日に核実験を実施し、同6月13日には「いまや核放棄など絶対にありえないものになった」とした上で、今後、新たに抽出されるプルトニウム全量の武器化やウラン濃縮作業に着手することを表明しています。

国際社会が一丸となり、北朝鮮に核開発やその他の諸問題を解決するよう働きかけていくことが重要です。

現実の安全保障環境を踏まえた核軍縮の推進

日本は人類史上唯一の被爆国として、非核三原則に基づき一切核兵器を有していません。

一方で、日本の周辺には引き続き核戦力を含む大規模な軍事力が存在しています。

こうした中で、日本が国民の安全に万全を期すためには、核を含む米国による抑止力の提供が引き続き重要です。

こうした観点を踏まえながら、国際的な核不拡散体制を維持・強化しつつ、核兵器のない世界という到着点を目指す必要があります。

また、その過程においても、国際的安定を維持できるような現実的な核軍縮の方途を、より具体的に検討すべき時期が到来しているといえます。

核兵器のない世界へ

核開発が世界のパワーバランスを保つ上で重要な意味を持っていた冷戦は終わり、1990年代以降、世界は核軍縮・核不拡散に向けた取組を続けています。

日本は戦後、国際社会で一貫して核廃絶を主張していますが、今日の核軍縮・核不拡散への機運の高まりを捉え、さらにその取組を加速させていく必要があります。

そうした具体的な取組の一つは、2009年4月に中曽根外務大臣が行った核軍縮演説「ゼロへの条件―世界的核軍縮のための『11の指標』」です。

また、日本と豪州のイニシアティブで立ち上がった「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)は、世界各国の首脳・閣僚経験者等が参加し、核兵器のない世界に向けて現実的かつ具体的なロードマップを示すべく活動しています。

これらを通じて国際社会の信頼を醸成し、2010年5月に米国ニューヨークの国連本部で開かれるNPT運用検討会議の成功に向けて役割を果たしていきます。

将来の世代を含む人類全体への重要な貢献となるよう、日本は国際的な核軍縮・不拡散体制の強化を働きかけていきます。

[引用資料] s28


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初版日時: 2017-03-06 (月) 11:06:30
最終更新: 2018-04-13 (金) 18:50:13 (JST) (109d) by hikoichi