彦市   » 人類生存の危機 » 報告書に対する結論

われわれの結論はつぎのとおりである。(下記は、20年後の修正版です

(1) 人間が必要不可欠な資源を消費し、汚染物質を産出する速度は、多くの場合すでに物理的に持続可能な速度を超えてしまった。
物質およびエネルギーのフローを大幅に削減しない限り、一人当たりの食糧生産量、およびエネルギー消費量、工業生産量は、何十年か後にはもはや制御できないようなかたちで減少するだろう。

(2) しかしこうした減少も避けられないわけではない。

ただし、そのためには二つの変化が要求される。

まず、物質の消費や人口を増大させるような政策や慣行を広範にわたって改めること。

次に、原料やエネルギーの利用効率を速やかに、かつ大幅に改善することである。

(3) 持続可能な社会は、技術的にも経済的にもまだ実現可能である。

持続可能な社会は、絶えず拡大することによって種々の問題を解決しようとする社会よりも、はるかに望ましい社会かもしれない。

持続可能な社会へ移行するためには、長期目標と短期目標のバランスを慎重にとる必要がある。

また、産出量の多少よりも、十分さや公平さ、生活の質などを重視しなければならない。

それには、生産性や技術以上のもの、つまり、成熟、憐れみの心、知慧といった要素が要求されるだろう。

上記の結論は、あくまで条件つきの警告であって、決して悲劇的な運命の予言ではない。

死刑の宣告ではなく、生きるための選択肢なのである。

その選択も、必ずしも憂鬱なものではない。

貧しい人びとが貧困状態から抜け出せないということではないし、豊かな人びとが貧しくならなければいけないということでもないのだ。

実際にはこの選択によって、物質的成長を維持しようとする人類が常に追い求めてきたゴールに、ようやくたどり着けるかもしれない。

われわれは全世界が持続可能な社会への道を選択することを望んでやまない。

本書を著したのもそのためである。

しかし同時に、その選択の重大さと難しさを見くびるつもりはない。

技術的、経済的には、持続可能な社会への移行は可能であるし、さほど難しいことでもないと信じている。

だが、心理的、政治的には、人びとに二の足を踏ませるような選択であることも承知している。

それは、あまりに多くの希望が、あまりに多くの人びとのアイデンティティが、そして工業化された現代文化の多くが、果てしなく続く物質的成長という前提の上に築かれているからだ。

[引用資料] b5


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初版日時: 2017-03-06 (月) 09:36:50
最終更新: 2018-04-13 (金) 18:50:12 (JST) (18d) by hikoichi