彦市   » 人類生存の危機 » 地球上のすべてはつながっている

人間の活動が無限に成長していくことは、あり得ない
地上で展開される人間の活動は激増しても、地球の中に限定されています。

つまり、利用できる土地や資源には限界があります。

有限なのです。

約46億年前に誕生して以来、基本的には地球の大きさとその構成物質は変わっていません。

雨が降ればどこからか新しい水がやってきたかのように思い、川にも新しい水が次から次へと流れているように思えるかもしれませんが、実際には、地上の水は、宇宙から補給されることはありません。

地球が今の姿になって以来、ずっと同じ水が循環しているだけなのです。

今日降っている雨は、数千万年前に恐竜の背中に降った雨なのかもしれないのです!

有限の地球の上で、人間活動を無限に展開することは不可能です。

もともと地上に存在していた以上の水を使うことはできません。

森林が自然に成長するペース以上に木を伐っていたら、いつか必ず森林はなくなってしまいます。地上の土壌や森林、海洋が吸収できる以上の二酸化炭素を排出しつづければ、当然ながら、大気中にたまってしまいます。

そして温暖化を引き起こします。

 「有限の世界で、何かが無限に増え続けることはありえない」-----このだれにも簡単にわかる事実に直面しているのに、その限りない増加や成長を止めることができずに、さまざまな地球環境問題を引き起こしているのが、現在の私たち人間の状況です。

 それはなぜなのでしょうか? 

これだけ多くの人々が「このままではいけない」とリサイクルやこまめな消灯、環境に配慮した買い物をするように気をつけ、これだけ多くの企業や自治体がさまざまな環境活動を展開し、これだけさまざまな環境法や国際条約がつくられているのに、なぜ、エコロジカル・フットプリント(環境への負荷要求量)は減少の兆しを見せるどころか、増大の一途なのでしょうか?

 みんながそれぞれ善意で取り組み、よかれと思ってやっています。

地球を壊そうなんて思っている人はいないのです。

みんなが、何とか問題を解決し、住みよい地球にしたいと思っているのです。

でも……こんなことになっていること、ありませんか?

 こんな話を聞いたことがあります実際にあった話だそうです)。

 1950年代、ボルネオ鳥での話です。

ここのある村で、マラリアが大流行しました。

マラリアは蚊が媒介する病気なので、世界保健機構(WHO)がDDTをまきました。

蚊はみんな死んで、マラリアの流行は終焉しました。

 ところがそのあと、いろいろと不思議なことが起こり始めました。

まず、民家の屋根がボロボロと落ち始めたのです。

どうしてでしょう?

 DDTをまいたので、民家の屋根に住んでいたスズメバチがみんな死んでしまいました。

ところが、イモムシを食料源としていたスズメバチがいなくなったので、イモムシが大繁殖して、茅茸の屋根を食べてしまい、それで屋根が壊れてしまったのです。

植民地政府は困りました。

しかたがないので、トタンの板を配って、「これで屋根をふきなさい」と言いました。

たしかに、イモムシに対しては強い屋根でした。

ところが、今度は村の人々が不眠症になってしまいました。

なぜでしょう? 

ボルネオ島は熱帯なので、猛烈なスコールが降ります。

その雨がトタン板の屋根にあたるすごい音がうるさくて、寝られなくなってしまったのです。

また、別の問題も出てきました。

DDTをまいたので、たくさんの虫が死にました。

死んだ虫を、これ幸いとヤモリが食べ、今度は大量のヤモリが死にました。

そのヤモリをネコが食べました。

そうやって、食物連鎖を上がっていくたびに、DDTが濃縮され(生物濃縮といいます)、高濃度のDDTを摂取したネコたちがどんどん死んでいったのです。

 ネコがいなくなって大喜びしたのはネズミです。

そうして、ネズミが増えていくと、今度は別の伝染病が流行りそうになりました。

 さて、困ったのはWHOです。

「自分でまいた種」とはこのことですね。

どうにかして刈り取らなくてはならない。

どうしたと思いますか?

 なんと、1万4千匹のネコにパラシュートをつけて空からまいたんだそうです!………

 「いったい何やってるんだろう」と思いませんか?

でも、自分のまわりを見ても、世界を見ても、「何やってるんだうう」っていうこと、よくありませんか。良かれと思ってやったのに予期せぬ結果が出てきたり、当面はよくても、あとでよけいに問題が大きくなったり、別の問題が出てきてしまったり……。

 それは、私たちの目に見える部分はごく一部であっても、地球や私たちの暮らしや組織の中のさまざまなものは、他のさまざまなものに影響を与えたり与えられたりして存在しているからなのです。

地球と同じく経済も、そのさまざまな要素が他の要素と影響を与えあって、動いているのです。

地球も経済も「システム」なのです。

 システムにはシステム独自の性質や動き方があります。

現在の人口や経済のシステムはどんどん成長しており、そのために地球への圧力が限界を超えるほど大きくなっています。

そのゆがみが、温暖化をはじめ、さまざまな地球環境問題として表面化しているのです。

たとえば、現在の人口や経済は、構造として「どんどん増大する」システムになっています。

増大する構造のシステムに対して、たとえば、その要素の一部であるリサイクル率を上げようとする取り組みだけでは、根本的な解決とはならないことは明らかです。

地球を一つのシステムとして考えてみよう

 地球や経済がいろいろな要素がつながったシステムであることを認識してこそ、その場かぎりのパッチワーク的、近視眼的な取り組みではなく、「長期的にも正しい真の解決策は何か」を考えて、進めていくことができます。

そのように、問題や状況をさまざまな部分がからみあったシステムとして考えるアプローチが「システム思考」といわれるものです。

 システム思考ではなく、目の前の問題だけを見て、解決しようとすると、どういうことになるでしょうか?

 ある問題を解決したと思ったら、予期せぬ影響が別のところに出てしまった、ということはありませんか?

 「自動車用ガソリンに排気ガスを減らす化学物質を添加したところ、地下水の汚染が大幅に悪化した」というのはこの例です。

 日本ではごみの埋め立て地が足りなくなったため、たくさんの焼却炉をつくって、ごみを燃やして

処理する仕組みをつくりました。

たしかに、ごみの埋め立て地は延命できました。

でも、その結果、1993年時点で、ドイツには53、アメリカには150弱あると言われる焼却炉が日本には1854近くもでき、欧米の何倍ものダイオキシンが発生するようになったのです。

今度は、ダイオキシン対策に走り回る結果となっています。

 また、「今はいいけれど、あとで大きな問題が起きてしまう」ということもあります。

クレジットカードを使い過ぎると、短期的には多くのお金を使うことができるが、長期的にはより貧しくなる」というのがわかりやすい例でしょう。

 別の例を挙げましょう。

かつての冷蔵庫は、冷媒にアンモニアを使っていました。

アンモニアは引火性があるため、よく爆発して火事を起こしていたそうです。

その問題を解決するために、冷媒にフロンガスと呼ばれる、化学的に安定して引火性のないクロロフルオロカーボン(CFC)物質を使うようになりました。

 たしかに、冷蔵庫の爆発事故はなくなりました。

しかしCFCは大気中に排出されてから数十年をかけてゆっくりと空中を上がっていき、成層圏に達するとオゾン層を破壊しはじめます。

この結果、有害な紫外線から地球上の生命を守っているオゾン層が薄くなり、大きな穴まで空いてしまい、そのせいで、紫外線から卵を守る殻を持っていないカエルがどんどん減少したり、人間にも皮膚ガンが増えたりという問題が出てきました。

実際にCFCが生産され、使用されたあと、数十年たってから、その影響が出てきているのです(したがって、CFCの生産や使用が原則禁止となったあとも、数十年間はオゾン層の破壊が進んでしまうのです)。

 システム思考では、何か問題があったときに、「あなたが悪い」「あいつが悪い」「あの出来事のせいだ」と、人や個別の事象の責任にするのではなく、「問題があるのはシステムだ。だから、たとえ人が変わっても、構造が同じなら同じ問題が起こる」と考えます。

その構造=システム自体を変えないと、いくら人を非難しても、いくら人を取り換えても、うまくいかないのです。

[引用資料] b5


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初版日時: 2017-03-06 (月) 10:10:50
最終更新: 2018-04-13 (金) 18:50:13 (JST) (108d) by hikoichi