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世界の食料需給には様々な不安要因
世界の食料需給に関しては、穀物等の需要量、生産量とも増加傾向にあり、穀物の総需要量(約22億t)に対する期末在庫量の割合(期末在庫率)も高い水準で推移してきました。

しかし、2007/08年度には生産量の減少等により穀物の期末在庫率が17.4%となり、国際連合食糧農業機関(FAO)が設定した安全在庫水準の下限17~18%に近づき、食料危機といわれた1970年代前半と同程度となりました(図1-2)。

この期末在庫率は、2008/09年度には、価格高騰を受け世界的に穀物の作付けが拡大するなか、良好な天候に恵まれ大幅な増産となったことから20.9%まで回復し、2009/10年度には、穀物全体の生産量が需要量をわずかに上回ることから21.7%になると予測されています。

しかしながら、中長期的にみると、世界の食料需給をめぐっては、需要面では開発途上国を中心とした人口の増加、中国・インド等の経済発展、バイオ燃料の増加等による食料・農産物需要の増大、供給面では収穫面積・単収の伸び悩み、地球規模の気候変動の生産への影響といった様々な不安要因があります。

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[引用資料] s26

穀物等の生産は特定国に集中

世界の穀物等の生産の状況をみると、米国、中国、インド、ブラジル等に多くが集中しています(図1-13)。

このような特定国に生産が集中する状況は、「食料危機」といわれた1970年代から基本的には変化していません。

例えば、米では、13億人の人口を擁する中国と12億人の人口を擁するインドで世界の生産量の半分、上位5か国で7割が占められています。

小麦では上位5つの国・地域で世界の生産量の7割程度、大豆では上位3か国で世界の生産量の8割が占められています。

また、大豆ととうもろこしでは、米国だけで世界の生産量の4割が占められています。

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穀物等の輸出も特定国に集中

農産物については、基本的にはまず生産国の国内消費に仕向けられます。

生産量に対する輸出量の割合をみると、例えば、原油では55%、乗用車では44%となっている一方、米では6%、小麦では21%となっているなど、農産物では、鉱工業品に比べ輸出に仕向けられる割合が低い傾向にあります(図1-14)。

また、主な農産物の輸出は、生産と同様、特定の国・地域に集中しており、上位5つの国・地域で全体の7割以上が占められています(図1-15)。

このため、農産物・食料については、輸出国での不作や作付けの転換、輸出規制の実施等があった場合、国際市場が大きな影響を受ける構造となっています。

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我が国の食料自給率は低迷し、先進国で最低水準

我が国では、過去40年あまりで1人当たりの国民所得が大きく増加し、食料需要も広がりをみせました。

食生活は大きく変化し、国内で自給可能な米の消費が減少する一方、国内生産では供給困難なとうもろこし等の飼料穀物を必要とする畜産物や、大豆やなたね等の油糧種子を使用する油脂類の消費が増加しました(図1-22)。

また、農産物価格の低下や農業所得の減少を主な要因として、基幹的農業従事者数、耕地面積が大きく減少し、耕地利用率も低下するなど、国内の食料供給力がぜい弱化しました。

これら消費面、生産面それぞれの要因により、供給熱量ベースでの食料自給率は、昭和40年度(1965年度)の73%、昭和60年度(1985年度)の53%から大きく低下し、近年は40%前後で推移しています。

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他国の農地取得等の動きへの対応

世界の食料需給に不安が高まっているなかで、一部の食料輸入国等は、開発途上国の農地の借受けや取得等により穀物等を生産し、自国への安定調達を図っています(表1-4)。

平成21年(2009年)11月に開催されたFAO世界食料安全保障サミット等の国際的な議論の場においては、世界の食料生産の促進と農業投資の増加を図るとともに、被投資国における農地争奪の懸念の高まりを受けて、責任ある国際農業投資の行動原則等を策定するために国際機関等が取り組むことが合意されています。

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初版日時: 2017-03-06 (月) 10:47:51
最終更新: 2018-02-15 (木) 13:03:59 (JST) (3d) by hikoichi