彦市   » 私の作業ミス事例 » 4。泡消火剤が雑用水に混入した

ホテルの駐車場に泡消火設備があって、点検で実放射試験を実施したので、点検で消費した消火薬剤を60リットル補充することになっていた。

薬剤のタンクは消火ポンプ室に設置されていて、床下が消火用水の貯水槽であった。

たまたま、消火薬剤の注入中に移送ポンプのビニールホースが外れて、漏れた消火薬剤が近くにあったマンホールから貯水槽に流れ込んだ。

すぐに気づいて、ポンプを停止したが、10リットル程が貯水槽に混入した。

 

作業が終わって、しばらくした頃に、ホテルの従業員から「トイレから泡が出ると外人が言っている」と知らせてきた。

原因が分からず、見通しのよい高台に位置していたので、30分ほどして周囲を見ると、はるか下方にある市道のマンホールから白い泡が吹き出して、3~4人が取り囲んでいた。

そして、しばらくしてパトカーが着て警官も加わって調査していた。

このマンホールの位置は、直線距離で100m近く離れていた。

ホテルがチェックイン前の時間帯であり、時間が経って泡が消えたので、大きな問題にはならなかった。

多分、薬剤が水槽の上部に高濃度で存在したので、優先して送水されたものと推定される。

 

調べて分かったのだが、消火用の貯水槽を規定より大きくして、消火用水と雑用水を兼用しており、トイレの洗浄水にも使われていて、その排水が下水道に放水されていた。

その下水道が市道の下を通っていて、たまたま見たマンホールから泡が吹き出た現象となった。

僅か10リットル程度の消火薬剤の漏出で、こんな現象が起きてしまう。

 

泡消火薬剤は、界面活性剤であり、原液状態で800リットルのタンクに貯蔵されていた。

装置作動時には、エジェクター装置によって3%濃度に希釈されて放出される。

従って、800リットルの原液があれば、約26トンの消火水となるので、例えば毎分1,200リットルの消火ポンプであれば20分間の放射が可能である。

消防法では、20分間以上の放射能力を規定している。

実際の火災では、泡の膜で燃焼物を被って空気を遮断することによって消火する。

この消火設備を作動させると、後の清掃が大変である。

泡がなかなか消えないし、下水排水路に抵抗がつくので排水が困難になる。

従って、点検業者は実放射試験を敬遠するのが実状である。



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Last-modified: 2018-10-14 (Sun) 09:12:43 (JST) (186d) by hikoichi