彦市   » 依佐美送信所(改訂6版) » 戦後に改造された事項

1.アンテナ

設置時は4分の1波長の逆L型アンテナでした。

昭和 4 年開局当時、ヨーロッパ諸国との通信が目的でしたが、7 年後の昭和 11 年には短波送信所が新たに設置されて、超長波は短波の補助的役割になりました。

昭和 16 年の太平洋戦争開戦に伴い、超長波は日本海軍が潜水艦への送信に使用するようになりました。

戦後は使用中止されて、従来のアンテナ線は、昭和 22 年に撤去されました。

そして、米国海軍により、昭和 25 年から1年半をかけて昭和 27 年 4 月にアンテナの更新が完成しました。

アンテナ線の実長は 1 本当たり 1,800m(水平部が 1,500 mで、立ち上がり部が 250 mと水平部のたるみを含めて300m)。

また、アンテナ線とその吊架方法の改善、および支線の改良取り替えが実施されました。

アンテナ線は、外径 4.2 mm の銅被覆された鋼素線 3 本の撚り線が使用されました。

これは、高周波電流は表皮効果で電流が電線表面に集中するので、強度のある電線を使って細くして3本とすることで、表面積を同等にしつつインダクタンスを増加したので効率向上に寄与したと推察します。

吊架線は碍子で絶縁した状態で、鉄塔頂部の滑車を通して地上へ引き下ろされて、地上近くで固定される構造でした。

その後、昭和38年には、アンテナ効率を改善するために、複調式に改修されました。

これは、アンテナ線の開放端を収束してローディングコイルと同じ機能を持つ終端コイルを介してアースに継いだものです。

この終端コイルは、増設したコイル室に収納されました。

既存のローディングコイルの巻数を増やしてアンテナ水平部の中間が電流節となるようにして、同じ容量の新設終端コイルを接続したことにより、アンテナ線中央部が電流節(定在波で電流が0V、電圧が最大値)となって、1/2波長のアンテナになりました。

この改修により、アンテナの効率が約 16 % から 24 % に上昇したと記述されています。

この複調式は、グリメトン無線局の Multiple tuned antenna と類似しています。

アメリカ軍がなぜ複調式に改造する必要があったのでしょうか?

筆者は、太平洋の潜水艦に送信するために指向性を改善したと推察しています。

その後、昭和 63 年には、アンテナ線の終端にラジアルアース(アース点から放射状にアース線を張って、それぞれの末端に電極板を埋設)が追加されました。

従来の多重接地の網状アースはそのままの状態で残されました。

 

2.高周波の生成方法

 その後、昭和 44 年に、セシウム原子発振器と電力送出管による静止機器方式に変更されて、CW 通信が 250 KW で、FSK 通信が 200 KW で運用開始されました。

 

3.受電電圧の変更

昭和 49 年 2 月 15 日からは、受電方式が一般の高圧需要家向けに合わせて 6,600V受電に切り替えられました。

このため、6,600 V / 3,300 V のタイトランスが設置されて、電力供給側も安定供給体制となりました。

昭和57年12月10日に、受電力率改善の為に高圧コンデンサーが追加されました。

 

4.監視室の改善

コントロール室らしく、回転機器に向かって操作卓が追加され、防音区画されました。 

また、エアコンなどの空調設備が付加されたと推察します。

 

5.非常用発電機の設置

昭和29年2月10日に、75KWディーゼル発電機が設置されました。

これは、出力電圧が3相220Vであり、高周波発電機の軸受け冷却用の油循環ポンプ、航空障害灯、監視室などの非常電源として使用されました。

昭和45年4月9日に、3相3300Vで、1,550KWの高圧ディーゼル発電機が設置されました。

これは、受電設備の強化工事と合わせて施工されたもので、電力会社からの電源が止まった場合でも、自家発電設備で稼働できるようにする為でした。

しかし、実際にこの設備が稼働したかどうかは明らかでありません。

下記の項目をクリックすると関連説明があります。

5-27.複調式アンテナ

5-28.航空障害灯



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初版日時: 2018-08-15 (水) 17:23:14
最終更新: 2018-10-11 (木) 19:43:15 (JST) (35d) by hikoichi