彦市   » 依佐美送信所(改訂9版) » 周波数弁別回路

「速度検出・制御回路」で概要を記してありますが、ここでは、高精度な回転数制御の心臓部である周波数弁別回路の詳細を記します。

5.3項に周波数弁別回路の概要図を掲げてありますが、AとBの2個の真空管増幅器が要です。

下図は真空管部分の詳細図です。

トーンモーター(回転数検出用発電機)の出力 e は、回転数検出ループ回路と真空管のヒーター電源に供給されています。

この図は、設置当時の構成であり、5.3項に掲げた図と違っていますが、基本的な部分は変わりありません。

(真空管入力回路のバイアスに乾電池ガ使われていること、及び、動作停止スイッチ CS が無いことが異なっています。)

ヒーター線の中央部をアース極に接続してあります。

また、真空管の増幅特性を同じにするためにヒーター電流制御のサーミスタと2次側に並列抵抗が挿入されています。

 

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高周波発電機の回転数が設定値からずれると、トーンモーターの出力周波数も変化します。

トーンモーターの出力(eは発電機の定格回転数5814Hzに対して2040Hzです。

この出力 e の変化を弁別して、真空管 A B のグリッド電圧を変動させます。

この結果は、AとBの真空管のプレート電圧の変化となります。

そして、RR1リレーを動作させます。

トーンモーター出力で、基準値 2040 Hz に対して0.5 Hz 以上のずれを生じるとRR1リレーが動作する程度に感度設計されていました。

周波数のずれを検出する同調コイル部分が重要であり、下図の如く重ね巻きによって結合を密にして高精度を実現していたものと推察します。

27y86-2.jpg

Aループの検出回路は、RC L で、定格出力2040Hzに同調するように調整されています。

また、Bループのタンク回路も、CoLo で 定格出力2040Hzに同調するように調整されています。

この2つのループ回路に対して、真空管入力回路が磁気結合するようにコイルボビン上で重ね巻してあります。

この為、e が変化すると、Aループの同調が崩れて、VaVb も変化します。

ここで、注目すべきことは、B側の Lb-1 コイルが逆方向に巻かれていることです。

しかも、La-1Lb-1 には、並列抵抗が接続されていて、異なる値となっていることです。

タンク回路の動作は、設定周波数で共振するので、e が設定周波数に近づくほどVa とVb が高い値に強調されて真空管の利得が上昇します。

この結果、定格回転数近くの制御精度が向上します。

61.PNG

上図は周波数弁別回路の作動原理です。

設定回転数(定格値)では、Va = Vb となって、A真空管とB真空管の交流入力絶対値が等しくなります。

回転数が低下すると、Va > Vb となります。

これは、検出回路(Aループ)の周波数が低下して、コンデンサのコンダクタンス値がコイルのコンダクタンス値を上回ります。

逆に、回転数が過大になると、Va < Vb となります。

これは、Aループの周波数が上昇して、コイルのコンダクタンス値がコンデンサのコンダクタンス値を上回ります。

この様子は、上図に示す如く、真空管入力となる交流成分 VaVb の絶対値に変換されます。

低速度では真空管 AT の入力が高く、過速度では真空管 BT の入力が高くなります。

この差が 1,000 倍ほどに増幅されて、プレート電流の違いとなり、更に、プレート電圧の差になって検出リレーRを駆動します。

低速度では、 AT のプレート電流が多くなり電圧降下が多いので、 Pb から Pa に向けて電流が流れて RR1 リレーが正方向に動作します。

過速度では、 BT のプレート電流が多くなり電圧降下が多いので、 Pa から Pb に向けて電流が流れて RR1 リレーが逆方向に動作します。

60.PNG

尚、弁別回路の出力 AB の絶対値の変化は上図の如くなります。

Aループにある抵抗 R の値を小さくするほど、同調特性が鋭くなって、Va Vb の差が大きくなります。

しかし、動作は不安定になるでしょう。

一方、R の値を大きくするほど、動作特性が緩慢になって安定しますが、周波数が定格から外れても検出が遅れます。

即ち、検出不能範囲(RR-1 リレーの不作動範囲)が広がってしまいます。

トーンモーターの出力 e は、真空管入力回路のバイアス電源にもなっています。

ブリッジ型整流器の出力電圧がベースとなり、Aループからの誘起電圧が重畳されます。

下図に、その様子を示します。

27y89-3.jpg

 
 
27y88.jpg

上図は、タンク回路の同調用コンデンサー部分を詳細説明する為に、コンデンサの組み合わせ例を推察したものです。

設計値のコンデンサー容量を Ct μFとすると、上図の割合に分割配置すれば、  

合成容量 Ct = C0 + Cx + ( C1 , C2 , C3 の組み合わせ)となり、50 % 以上の値を調整できます。

 

運転時の設定変更方法

1。高周波発電機の周波数を変更する操作

周波数弁別回路の A ループの同調周波数を変更します。

コイル L を減らせば、トーンモーターの同調周波数 fo が上昇し、増やせば下降します。

また、周波数弁別回路の B ループの同調周波数も変更します。

コンデンサ Co を増やせば、弁別回路の基準周波数が上昇し、減らせば下降します。

2。速度自動制御が制御不良となった場合の操作

位相弁別回路の出力で動作する直流発電機用励磁機の摺動抵抗器は、抵抗値が上限または下限に達すると、リミットスイッチが働いて制御限界になります。

この様になる場合は、直流発電機の励磁電流調整用の Rc3 抵抗器の設定を変更します。

・低速度状態の場合

Rc3 の抵抗値を減らして、直流発電機に追加する励磁電流を増やします。

・過速度状態の場合

Rc3 の抵抗値を増やして、直流発電機に追加する励磁電流を減らします。



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初版日時: 2018-08-16 (木) 13:33:32
最終更新: 2019-01-23 (水) 15:28:38 (JST) (60d) by hikoichi