彦市   » 依佐美送信所(改訂9版) » ヨーロッパ諸国への送信


昭和 4 年当時にヨーロッパ諸国まで電波が伝わったことは驚きです。

日本からヨーロッパ諸国までは直線距離で約1万km です。

この遠距離通信に適した周波数は 15,000 Hz から 30,000 Hz でしたので、依佐美送信所の周波数が 17,442 Hz に決定されたのです。

(低い周波数ほど減衰が少ないですが、15,000 Hz 以下は可聴周波数帯になるので実用できません。)

昭和11年11月からは、1km 離れた隣接地に短波送信所が併設されて、短波による遠距離通信の時代になりました。

電波の性質上から、波長が短いほど直進性が強くて、減衰も多いと言われています。

このため、超長波で強い電波であれば、方向性を持たせて放射した電波は地表面に沿って迂回しながらも1万Kmの遠隔地までも伝搬したのです。

この条件を容易に見つけることは困難ですが、既に、依佐美送信所建設より10年ほど前から、世界の先進国では、超長波による遠距離通信の実績がありました。

依佐美送信所は、これらの実績に基づいた技術で建設されたものです。

 

ヨーロッパ諸国での受信電力(電波強度)の推算

フリスの伝送公式に当てはめて試算してみました。

1y14.jpg

ここで、Pr :受信アンテナが受け取ることのできる受信電力 W

    Pt :送信アンテナからの送信電力 W

    Gr :受信アンテナの(正面方向における)絶対利得 倍

    Gt :送信アンテナの(正面方向における)絶対利得 倍

    λ :波長 m

    D :伝搬距離 m

依佐美送信所の数値を当てはめると、以下の結果が出ました。

Pr = {17,240 / (4π x 10,000 x 103 )}2 x 500 x 103 x Gt x Gr

 = 9.4 x 10-3 x Gt x Gr

ここで、Gt = 6.3 、Gr = 1 を仮定すると

Pr =9.4 x 10-3 x 6.3 x 1

Pr = 60 mW

以下に、数値の根拠を説明します。

Pt はアンテナ出力で500KW

λ は光速÷周波数から、3 x 108 / 17,442 = 17,240m

D は1万km = 107 m

Gt は、基本である等方性アンテナに対して半波長ダイポールアンテナの利得が2.15dBiであり、依佐美の逆L型はL字部分の指向性が大きく評価して利得を6dBiと見積もって、2.15 + 6 = 8dBi = 6.3 倍

Gr は、等方性アンテナ(絶対利得 = 1)として、1 倍

ただし、上記の算式は自由空間を想定したものです。

実際には、山あり谷ありの地表面に沿って伝搬しますから、この値の千分の1程度と仮定すると、

60 mW x 10-3 = 0.06 mW = 60 μW となりますが、一般に受信機の増幅度が千倍程度はあるので、受信可能でした。

当時の受信側の状況については資料がありませんが、3極真空管を使ったスーパーヘテロダイン方式の受信機であったと推察します。

当時は、無線が未発達であり、ホワイト・ノイズが少ない環境ですので、S / N 比も十分な値であったと推察します。

 

 

私(筆者)が思考する電磁波の伝播

 

「電磁力」の実態は未だ解明されておりませんが、超長波による長距離通信の可能性について、自分なりに解明するものです。(従って、世間の常識には反しています。)

螺旋軌道-1.jpg

螺旋軌道-2.jpg

超長波の電波は地表面に平行して放射されるので、磁力線の振幅変動が繰り返されつつ、あたかもドリルの芯の如く、地表面に沿って螺旋状に回転しながら直進すると仮想します。(図上)

1波長で螺旋軌道を1回転しますので、同じ距離で比較すると、波長が長いほど1回転で進む距離が長くなり、回転数が少ないほど減衰が少なくて済みます。

また、減衰すると、螺旋軌道の径が小さくなります。(図下)

螺旋軌道の径は、エネルギーの大きさに比例していますので、伝搬距離が進むに従って、螺旋軌道-1 > 螺旋軌道-2 > 螺旋軌道-3 の関係があり、軌道径が受信感度以上あれば、その地点で受信が可能です。

電波は空中を電磁波として伝播しますが、同じ周波数である20KHzの音波では、振動数が近い超長波電波と比べて減衰が20倍となります。

これは、空気自体の振動現象であり、質量が影響するからでしょう。

海面に近い位置にいる潜水艦に通信できるのは、海中を電波が進行するのではなくて、海面に沿って進行する電波の振幅が大きいので、その振幅範囲に位置すれば受信できるものと推察します。

従って、潜水艦向けであれば、出来るだけ波長が長い電波を、高いアンテナから出る大振幅の地表波として、しかも大出力で指向性を持たせて放射することです。

依佐美送信所の逆L型アンテナは、この条件に合致するものでした。



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初版日時: 2018-08-18 (土) 07:38:12
最終更新: 2019-02-08 (金) 11:56:47 (JST) (44d) by hikoichi