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電源構成はワードレオナード方式

 

当時の既存の送信所では、高周波発電機の運転は誘導電動機との直結方式でした。

依佐美送信所でワードレオナード方式が採用されたのには理由があります。

それは、当時の世界情勢から、超長波の送信所が増加傾向にあって、限られた周波数範囲に増加する送信所の固有周波数を割り当てるには、出来るだけ許容周波数範囲を狭くする必要があります。

それに加えて、大電力送信所は、他局に混信を与えやすいので、不要な電波放射を極力抑えなければなりません。

一方で、受信機の改良も進み、4極真空管の実用化により、スーパーヘテロダイン方式の受信機が発明されていました。

そこで、当時の日本では、世界進出の為に威信をかけた送信所との位置づけで、最先端技術であるワードレオナード方式が採用されたものと推察します。

ワードレオナード方式は、製鉄所の圧延機で実用されていたもので、負荷変動が大きい大容量電動機を定速度で運転出来る優れた駆動方式でした。

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上図は、高周波発電機をワードレオナード方式で駆動する機器構成図です。

ワードレオナード方式の特徴は、負荷の激しい変動に対して、速度変動幅を小さくして運転制御できることです。

アンテナ出力周波数の変動が許されない送信所では、必須のシステムです。

一般には、はずみ車を取り付けて、瞬間的な負荷変動に対応させます。

しかし、この依佐美の高周波発電機の回転子は 21Ton もあり、回転子自体がはずみ車の役割をもっていました。

主誘導電動機の始動方法

 

始動する前に、切り替え器を始動側にして、交流電動機の手前に水抵抗器を直列接続して、抵抗値最大の位置にして、抵抗器内で電圧降下させて、電動機には低い電圧からスタートします。

この状態では、電動機の起動電流が定格値の200%程度に収まります。

回転速度が上がると電流が減少するので、順次抵抗値を小さくして、電動機のコイルに過大な電流が流れないように、約1分程度かけて全電圧の無負荷定格回転数に到達します。

この時、水抵抗器では発熱があるので、使用後には水温が60度以上になります。

定格回転数に達したら、切り替え器を運転側に倒して、水抵抗器を切り離します。

そして、抵抗値を最大の位置まで戻して置きます。

水抵抗器は、陶器製の3つの内筒に塩化カルシュームの水溶液が半分ほど入れてあり、銅製の多重円筒型の電極板が上下に移動出来る構造で、3つの電極板が連動して上下します。

電極板が下がるほど水溶液に浸かる面積が大きくなるので抵抗値は小さくなります。

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上の2図は、ワードレオナード方式の制御を説明するものです。

高周波発電機の負荷変動は A 点と B 点の 2 点間で高速に繰り返えされます。 この状況は、「高周波発電機の負荷変動」図の通りです。

そこで、発電機用励磁機回路の抵抗器を切り替えて、直流発電機の励磁電流を段階的に変化させることにより出力電圧を100%と45%の2値変化をさせます。

この状況は、「直流発電機の制御」図の通りです。

直流発電機の出力が直流電動機の電源となっています。

ここで、定格回転数を保つために、高周波発電機からのフィードバック回路の出力であるスライド式抵抗器で直流発電機用の励磁機の出力電圧を微調整します。

つまり、直流発電機用の励磁機自体の励磁電流を変化させることにより、励磁機の出力電圧を変化させて、直流発電機の励磁電流を微調整するものです。

このスライド式抵抗器の操作は、周波数弁別回路で自動制御しています。

「周波数弁別回路」とは、高周波発電機に直結されたトーンモーターからの出力により、基準周波数とのずれを検出して修正信号を出す回路です。

このように、直流発電機の励磁回路を2段階に制御することによって、外乱にも対応できて、正確な回転数制御が実現できました。

下記に関連説明があります。

5-1. 電力受電設備

5-2. 電力損失と発熱・騒音

5-5. 高周波発電機の特徴

5-6. 高周波発電機の原理と構造


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初版日時: 2018-05-10 (木) 20:43:05
最終更新: 2018-05-11 (金) 14:29:46 (JST) (10d) by hikoichi