彦市   » 依佐美送信所(改訂5版) » アンテナ回路

アンテナの等価回路.jpg

上図は、逆L型アンテナの単純化した等価回路です。

輻射実効抵抗 Rr とアンテナ線空間の静電容量 Cw は共に分布値であり、アンテナ素子16 本が並列回路になっていました。

アンテナ設備は2系統に分岐し、更に熊手状に幅 30 m 間隔で広範囲に配置した計 16 条のアンテナ素子で、最大 500 KW の入力が可能でした。

これは、アンテナ線を細くして軽量化を図り、かつ、アンテナ線での発熱を分散させることと、更に、隣接線からの相互インダクタンスの影響を減らすと共に地震や台風時に隣接線の交さ接触防止の為もあって、広範囲にわたる敷設となっていたものと推察します。

そして、網目状の多重接地方式により鏡像効果を発揮して、対地静電容量が増加すると共に、総合的には給電点方向に向けた垂直偏波を生じて、給電点方向に強い指向特性を持つ超長波アンテナ設備でした。

従って、このアンテナの長手方向の給電点を330 度(北から30 度西寄り)としてヨーロッパ諸国に向けて設置されていました。

下図は、アンテナの指向特性を説明しています。

アンテナの指向特性.jpg

アンテナ素子には外径約 10 mmの燐青銅撚り線が使われ、4本の吊架線を介して8基の250m鉄塔に展張された構造でした。(設置当初は外径約 20 mmの燐青銅撚り線?)

この吊架線は鉄塔との間に亜鈴碍子を挿入して鉄塔への通電を防ぐ構造でした。

しかし、実際には、鉄塔がアース電位であると、電波放射に寄与しない対地静電容量が増加して輻射効率が低下するため、鉄塔の基台部分と下端の横支持部及び支線の中間部にも碍子を挿入して対地絶縁した構造でした。

そして、防錆のため、亜鉛メッキが施された日本最初の鉄塔でもありました。

また、アンテナ線の終端部を碍子で絶縁して、継ぎ足した引き下げ線の地表近くに重錘を取り付けて、アンテナ線のたるみが季節変動の影響を受けないように、的確な展張力を維持する構造でした。(開設時の方式で、重錘は最初のアンテナ線取替時に外された

しかし、引き下げ線延長はアンテナ線に無駄な静電容量を付加させるので、戦後の張替えでは撤去されました。

鉄塔基部は1点支持のピポット型台座となっており、モーメントによる応力発生のない構造でした。

従って、台風時でも支線の強度で耐えられて、鉄塔基部には曲げ応力が生じない設計でした。

また、この大荷重を、許容耐力350 kg/cm2 で設計され絶縁碍子群で支えていました。

昭和 26 年には、鉄塔に赤色航空標識灯が設置され、その後の航空法改正に従って、赤白に彩色塗装されたので、特に夜間には、村人にとっては位置標識としての存在価値もありました。

輻射効率は、約 20 %であったと資料に記されています。

昭和 38 年 3 月に、複調式アンテナに改造されました。

この結果、従来は給電点方向に強い指向性があったものが、終端方向にも指向性を持つことになって、水平アンテナ素子の双方向に垂直偏波が生じて指向性を持つようになりました。

即ち、給電点を横にしたループアンテナをループ面を垂直にした指向性に類似した効果であったと推察します。

そして、性能も向上しました。

しかしながら、ローディングコイルの値が増加して送信所建屋出口の電圧が上昇したので、絶縁碍子の構造が変更されました。

下記の項目をクリックすると関連説明があります。

5-12.ヨーロッパ諸国への送信

5-13.アンテナ線の表皮効果

5-14.アンテナ回路の整合

5-15.アンテナ線の電流分布と電波放射

5-16.輻射効率の算出

5-17.マルチプル・アースの敷設状態

5-18.アース抵抗値の推察

5-19.アレスターの構造

5-20.鉄塔の配置状態

5-21.鉄塔の荷重負担状態

5-22.基台碍子の荷重分担

5-23.支線の機能と保守



トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード印刷に適した表示   ページ新規作成 全ページ一覧 単語検索 最新ページの一覧   ヘルプ   最新ページのRSS 1.0 最新ページのRSS 2.0 最新ページのRSS Atom Powered by xpWiki
Counter: 27, today: 1, yesterday: 0
初版日時: 2018-05-11 (金) 12:49:37
最終更新: 2018-08-02 (木) 08:15:22 (JST) (19d) by hikoichi