彦市   » 依佐美送信所(改訂5版) » おわりに

意気込んで技術面からの解明を試みたが、資料不足と知力不足で満足できるレポートとはなりません。

制御系統の配線は全て廃却されているし、解体直前の資料は刈谷市に保管されていると聞くが非公開でお蔵入りです。

有閑ではあるが脳が軟化しつつある後期高齢者が無い知恵を振り絞って、試行錯誤を繰り返してまとめたレポートです。

知るほどに記述の間違いや矛盾点に気づいて改訂を重ねましたが、今回は原点に戻り、発電機出力が 500KW での日常運転を想定して、数値解析に重点を置いて見直しました。

そして、ガイド・ボランティアの会での「技を伝える会」に参加して、意見交換したこともあって多項目の修正ができました。

その結果、当時のドイツ国の技術水準に驚嘆するばかりです。

この依佐美送信所に関する技術面からの特徴を以下に列記します。

1。高周波発電機と高精度な回転数制御

高出力対策として幅広いドラム型回転子、バームクーヘン型の分割式固定子、通風と通水による冷却、ワードレオナード方式、機械加工技術、真空管を用いた平衡式ブリッジ検出回路による速度制御など。

2。トリプラーとキーイングチョーク

鉄芯の磁気飽和現象を利用したもので、電圧を故意に歪ませて3倍の周波数に変換(トリプラー)、磁気飽和時にコイルの性能(インピーダンス)が低下する現象を利用した無接点式電力制御(キーイングチョーク)。

関係資料が無いために、試行錯誤で回路定数を組み替えて、矛盾無く動作する回路図となって、やっと機能を理解できました。

3。アンテナ線下のアース網の役割

「500KW の大出力と 250m の高いアンテナ」でヨーロッパへ送信できた・・・と説明されても、大規模なアース網の必要性が理解困難でした。

トップローディングやラジアルアース方式でも代行できるではないか?

このアース網は、単なるアース抵抗値の低減だけではないと思われてきました。

更には、アンテナ素子からは、実質どれほどの電波が放射されていたのか?

鏡像効果を生じることで、水平部のアンテナ素子が指向性を持った垂直偏波を出して効率よく通信に寄与したと推察します。

4。鉄塔の構造

ピボット(球状)受座、対地絶縁方法、碍子の強度と保守管理、支線の張り方、台風対策など。

5。大掛かりな設備

世界遺産である「グリメトン送信所」と較べて、回転機械やコンデンサなど重複したり、複雑なシステムでした。

目的や環境の違いがあるので、一概に評価できませんが、後世の人間としては興味あるテーマです。

 

これらの興味ある技術をガイドできれば、工学に関係する来訪者が増加するのではないかと期待しています。

 

2018年2月4日(第4次改訂版)水谷 彦一郎



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初版日時: 2018-05-11 (金) 13:44:25
最終更新: 2018-08-02 (木) 08:34:24 (JST) (19d) by hikoichi