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全文を口語調で書き換えました。

分度とは、興国安民対策の根元であり、経済の基礎を確立し、公益に資することと両立する方法です。

道義の面から解釈すると道徳学に属し、経済面から解釈すると経済学に属します。

従来の道徳は、労多くして功少なく、永くは続け難いものでしたが、この分度は、道徳と経済が併存できて、実現可能な実学です。

故に、経済を修めようとする者は分度によるべきです。

分度を立てるには、先ずは道徳学を修めて、報徳の心で実行することが第1です。

全体の教義を述べることは、本論の主眼でありません。

その教義については、先輩諸氏の著書がたくさんあります。

分度とはどんなことか?

どんな効用があるか?

どんな結果になるか?

慈善や資本蓄積がどうすれば確率するか?

では、どうすれば実行できるか?

について論理するものです。

そもそも、分度とは、分に従って度を立てると云う意義です。

故に、分は自然体であり天命に属しており、度は作為であり人道に属しています。

この自然の天分によって歳入が定まり、歳入に応じて歳出を節制します。

これが、分度を立てると云うことです。

換言すれば、生産を限定するのではなく、消費の程度を定めて余剰を創り出して推譲するのです。

しかし、その方法については貧富の差を考慮しなければなりません。

貧者は倹約して貯蓄する余裕がないので、兼業できる仕事を探して度外として貯蓄するべきです。

富者は倹約により余財を生じて、他讓のための資金とするべきです。

次に、その概要を解説します。

昔は貧者であったが、現在は富者になっている者は、過去10年間の純収入から年間平均額を算出して、これを天分と見なして基礎額とします。

この基礎額の範囲内で歳出を制限します。

歳出を制限するには、基礎額を折半して、半分を分内とし、残りの半分を度外とします。

分内を暮らし向き全ての費用として、経常費と臨時費に区分します。

度外は、その半分を自譲の資金とし、残りの半分を他譲の資金として貯えます。

即ち、歳入の4分の1を他に推し譲るとするものです。

故に、暮らし向き分限として歳入の50%を充てて、他譲に25%を割り当てることです。

この様に、天分の一定割合を他譲の資金とすることこそが、報徳として重要なことなのです。

全く他譲の行いをしない者は、暮らしは立派でも報徳の道は得られません。

このようにして、将来においても10年間毎に実収入の平均額により分度を改訂して実行すれば、内分も増加していくでしょう。

既往の収入が多い時には分度が増し、少ない時には分度が減ることになります。

この様に、既往10年間の盛衰増減によって、未来10年間の目標が定まり、益々富めば他譲の資金も増倍することになります。

そして、恩恵の及ぶ範囲が拡大して際限はありません。

この分度を実行することについては、人は難事と考えています。

しかし、4分の1を余して備蓄することは昔の王政で定められていたことでもあり、出来ない事ではありません。

公爵以下、富豪から一般人民に至るまで、この方法を風習として推譲の資金を積み立てれば、旱魃や水害が発生しても全ての被害者を救済できます。

更には、外国からの攻撃に際しても軍備不足となることもありません。

とは言え、度外の半分を他譲の資金とすることは、小資本の家にあっては、実現出来ない事情もあるでしょう。

その場合は、度外の40%又は30%、或は20%としても分度の道に反する行為ではありません。

既に富んでいても、この他譲の行いをしない者は、守銭奴になり、その心は貧しく暮らす者と同じです。

初め富んでいたが今日貧乏している者は、既往10年間の平均値を用いてはいけない。

現在の収入によって分度を定めるべきであり、暮らしに余裕のない者は余分の勤労に努めて、その分を度外として、非常時に備えて貯蓄するべきです。

各家庭がこの様に実行すれば、旱魃や水害があっても自分で何とか対応ができます。

要するに、分度の精神は、生計上で節約して余剰金をひねり出したり、生産を増して公益を生じることに努めること、即ち、勤倹推譲です。

勤倹推譲は人間の本分であって、その徳により歳入の増加につながり、益々財産を強固にして自分の幸福安寧を得ることになります。

富者は、この方法によって富を維持できるし、貧者がこの方法で貧困から脱出できます。

この様にみれば、分度は創業の道理であり、成功して富を維持する道理であり、貧困から脱出する道理であり、積善の母であり、公益の資源でもあります。

家でも、村でも、郡でも、国でも実行するべきことです。

昔、諸侯の領地や旗本の支配する村や個人の家政で実施されていた効果の大きい政策とは、全てがこの方法でした。

今では時勢が変わり制度も改まっているので、町村や国郡に対しては適用できないが、各家庭においては、大きい家、小さい家の違いに拘わらず今昔変わらず、むしろ今こそ大いに実行する時期にあると信じています。

以上述べたところの趣旨を要約し、分度の成立にについて図解します。

分度の成立.jpg



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初版日時: 2017-11-24 (金) 15:17:32
最終更新: 2018-10-14 (日) 12:18:33 (JST) (32d) by hikoichi