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  10. さよなら先進国 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      1.はじめに 2.世界帝国から多極化へ 3.関係記事 3-1.覇権の起源 3-2日本の官僚支配と沖縄米軍 3-3.600年ぶりの中国の世界覇権 3-4.米中逆転・序章 3-5.世界史解読:欧州の勃興 3-6.資本主義の歴史を再考する 3-7.資本の論理と帝国の論理 3-8.覇権の起源:ユダヤ・ネットワーク 3-9.国家と戦争、軍産イスラエル 3-10.多極化の本質を考える 3-11.大均衡に向かう世界 3-12.アフリカの統合 3-13.真珠湾攻撃から始まる覇権分析 3-14.世界のデザインをめぐる200年の暗闘 3-15.ヤルタ体制の復活 3-16.隠れ多極主義の歴史 3-17.覇権の起源:ロシアと英米 3-18.ニクソン、レーガン、そしてトランプ 3-19.金融覇権をめぐる攻防 3-20.ネオコンの表と裏 3-21.歴史を繰り返させる人々 3-22.ネオコンと多極化の本質 3-23.CIAの反乱 3-24.さよなら先進国 3-25.やがて破綻するドル 3-26.軍産複合体と闘うオバマ 3-27.トランプ革命の檄文としての就任演説 3-28.軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃 3-29.多極型世界の始まり

  11. はじめに (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      覇権が経済主導になり、軍事主導だった「歴史の終わり」が語られた。 帝国と資本の暗闘は、冷戦終結とともに、資本が大幅に強くなった。

      #br

      だが、イスラエル右派は97年にラビンを暗殺して中東和平を壊し、同時に米国の軍産と組んで、イスラム過激派にテロリストのレッテルを貼り、イスラム世界との第2冷戦の対立構造を作っていった。 #br

      米当局(軍産)の自作自演性が感じられる911は、軍産イスラエルによる米国の乗っ取り、クーデターだったと言える。 米政府の戦略は、アフガニスタンやイラク、イランなどに対する敵視が席巻し、中東以外との関係が軽視され 「911後、米国は中東の国になった」とまで言われた。 3-20.ネオコンの表と裏 参照 軍産英国は、この機能を使ってソ連敵視の冷戦構造を確立し、当時の覇権の多極化体制(米ソ協調。ヤルタ体制)を潰している。 3-21.歴史を繰り返させる人々 参照 3-22.ネオコンと多極化の本質 参照 3-23.CIAの反乱 参照 債券金融システムは、中央銀行群によるQE(資金注入)によって表向き延 命・バブル膨張しているが、いずれQE(金融規制緩和などの延命策)が終わるとバブルが崩壊して潰れる。 3-24.さよなら先進国 参照 3-25.やがて破綻するドル 参照  オバマ政権は、イラクから米軍を撤退させ、イランと核協定を結んで核の濡れ衣を解いた。 3-26.軍産複合体と闘うオバマ 参照  そして、今のトランプ政権になって、米国は再び、帝国と資本の相克が激化している。 帝国と資本の相克、米国覇権を維持しようとする勢力と、米覇権の自滅や放棄による多極化を画策する勢力との対立構造の中で、トランプは資本や多極化の側にいる。 3-27.トランプ革命の檄文としての就任演説 参照 3-28.軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃 参照 3-29.多極型世界の始まり 参照 #br

      #br

  12. アフリカの統合 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      米軍は、80年代に冷戦終結を見越して日本から撤退していく方向を模索したが、それを見た日本政府が「駐留費を負担してあげるから日本にいてください」と頼んだ疑いが濃い。 ▼海兵隊は米本土駐留が最適なのに

  13. トランプ革命の檄文としての就任演説 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      衰退から復活へ日本の選択肢

  14. 世界のデザインをめぐる200年の暗闘 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      ユダヤを重用したプロテスタント的イギリス効率良い国家体制の試行錯誤アメリカの独立と産業革命中南米独立の均衡戦略とモンロー宣言

  15. 大均衡に向かう世界 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      米国は多極型世界を作るために建国された

  16. 金融覇権をめぐる攻防 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      トランプの魅力は、決して屈服しない強固な喧嘩腰CIAを脅して味方につけ、マスコミを潰しにかかる軍産に取りつかれたマスコミやリベラルとトランプの長い対立になる

  17. CIAの反乱 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:13 by hikoichi 差分

      人類は優れた頭脳で動物界の頂点に位置して、知識の集積と欲望には限りがありません。

  18. Help (106d)
  19. InterWikiName (106d)
  20. PukiWiki (106d)
  21. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin (106d)
  22. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/H-K (106d)
  23. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/O-R (106d)
  24. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/S-U (106d)
  25. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/V-Z (106d)
  26. WikiName (106d)
  27. YukiWiki (106d)
  28. ネオコンと多極化の本質 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      東ローマ帝国崩壊がルネサンスに結びついたイスラム世界から航海術を学んだポルトガル

  29. ヤルタ体制の復活 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      産業革命を世界に広げた資本家資本と帝国の矛盾の末に起きた第一次大戦アメリカを乗っ取ったイギリスイスラエルとの暗闘テロ戦争で巻き返そうとした英イスラエル かつてイギリス好みの戦争機関の一部だった米連銀は、今では隠れ多極主義の資本家の手先に成り変わっている。 ▼イギリスをEUに幽閉する

       アメリカが金融崩壊していくと、同じ金融システムに乗っているイギリスも連鎖的に崩壊する。

      以前の記事に書いたように、イギリスは今年、金融財政の危機になると予測されている。

      スコットランドでは、イギリスから分離独立を目指す動きも続いており、独立支持の元俳優ショーン・コネリーは最近、77歳の自分が死ぬ前にスコットランドは独立すると発言している。

       米英同盟の崩壊、金融財政危機と国土縮小の末、イギリスはアメリカを操作して世界を間接支配することができなくなり、EUに本格加盟せざるを得なくなるだろうが、EUでは今、リスボン条約などによって、政治統合が着々と進んでいる。

      独仏はすでに軍事外交の統合で合意しており、イギリスもEUに本格加盟するなら、軍事外交の権限をEU本部に明け渡さねばならない。

       これは、イギリスが外交力を駆使してアメリカを牛耳ることを永久に不可能にする。

      アメリカの資本家から見れば、いまいましいイギリスをEUに永久に幽閉することができる。

       イギリスは、EUを牛耳って覇権の謀略を続けようとするかもしれないが、かつて二度もイギリスに引っかけられて潰された上、50年の東西分割の刑に処されたドイツは、もう騙されないだろう。サルコジのフランスも、親英的なふりをしつつ実際には多極化の方に乗る狡猾な戦略を展開している。

      独仏とも、イギリスの長年の謀略から解放されたいはずである。

       アメリカは、イギリスとイスラエルから解放されて国際不干渉主義に戻っていくだろうし、ロシアや中国や中東(GCC+イラン+トルコ)も、米英覇権から抜け、独自の地域覇権の勢力になっていくだろうから、たとえイギリスがEUを牛耳れたとしても大したことはできず、世界は多極化していくだろう。

      アメリカを好戦的にしていたイギリスとイスラエルが無力化されることで、世界は今より安定した状態になることが期待できる。

  30. 世界帝国から多極化へ (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      繰り返される資本と帝国の暗闘冷戦終結で3回戦に決着テロ戦争の戦略とともに4回戦目米国はやがてよみがえる

  31. 多極化の本質を考える (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      アフリカを分割支配する欧州中国型発展をアフリカで実践する中国に談合を持ち掛ける欧州

  32. 多極型世界の始まり (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      2014年12月12日  さる12月8日は、真珠湾攻撃から73年目の記念日だった。 日本では、今やすっかり弱くなった反戦市民運動の「戦争の惨事を繰り返すな」という主張を象徴する記念日の一つとして、ほとんど忘れられつつ、この日が存在している。 米国では、米当局が日本軍の真珠湾攻撃を予期していたのに防がなかった、真珠湾攻撃は米国上層部の好戦派(のちの軍産複合体)が不参戦論をつぶして米国を第二次大戦に参戦させるために日本を引っかけてやらせたといった説が、記念日の前に毎年再登場する。

       米国は、敵を引っかけて自国や同盟国を攻撃させ、反撃する大義を作ったうえで、正当防衛として戦争を開始することが昔からうまい。

      1898年には、スペインを中南米や太平洋地域から追い出す目的の米西戦争を起こすため、ハバナ港で米国商船が沈没した「メーン号事件」でスペインに濡れ衣をかけて開戦した。

      米国が第一次大戦に参戦するきっかけとなった1915年の「ルシタニア号事件」も、大量の火薬を不正に積んだ英国籍の同船がドイツ軍に攻撃沈没される可能性を知りつつ、米当局は同船に多数の米国人を搭乗させており、ドイツを引っかける目的だったことが感じられる。

       1990年のイラクのクウェート侵攻と、2001年の911テロ事件は、いずれも米国(とイスラエル)が中東で長い戦争を始めるきっかけとして誘発(発生を黙認)した疑いが濃い。

      ベトナム戦争につながった1964年のトンキン湾事件も米当局のでっち上げだった。

      1950年の朝鮮戦争勃発(北朝鮮軍の南侵)も、米英が金日成にニセ情報を信じさせて南侵を誘発した可能性がある。

       米国は、敵国による侵略を誘発したり、不法行為の濡れ衣をかけ、自国が「正義」の側に立った上で戦争や経済制裁を開始する。

      この点をとらえて「米国は悪辣だ」と非難する人も多い。

      しかし私には、悪辣なやり方で正義の側に立つ策略自体が悪いことだとは思えない。

      国際政治は昔からそのような表裏がある。

      国家や国際政治の場だけでなく、社会一般に古今東西、野心を持つ人の多くがこの手の偽善策を試みてきた。

      分析すべき要点は、国家戦略の悪辣さでなく、そうした策略を通じて何を実現したかったのかを考える目的分析の方だ。

      911テロ事件が米当局の自作自演だったことを多くの人々に理解してもらうことよりも、米当局が自作自演的に911事件を起こした目的が何だったのかを考えることの方が重要だ。

       第一次大戦後、真珠湾攻撃が起きるまで、米国の国際戦略は、国際政治への関与に消極的な「孤立主義」の傾向が強かった。

      米政界の好戦派は、日本に真珠湾を「奇襲」させて日米戦争を勃発させることで、米国を孤立主義から引っ張り出し、日独伊と米英仏が戦う第二次大戦の構図を作った。

      真珠湾攻撃は、米上層部の「孤立主義者」と「国際主義者」の対立の中で、国際主義者を一気に優勢にする効果があった。

       第二次大戦前の米国の孤立主義者と国際主義者の対立は、第一次大戦の終わり方に起因している。

      第一次大戦は、それまで世界を支配してきた覇権国の英国が、後から台頭してきたドイツに経済的に抜かされ、ドイツが政治的にも英国をしのごう(覇権を英国から奪おう)と競争対立する中で起きた戦争だ。

      米国は当初、参戦せず傍観していたが、英国が戦後の世界体制として米国が好む植民地解放(民族自決の原則)と国際連盟の創設に同意したので参戦した。

      国際連盟(とその後継機関である国際連合)は、植民地から独立した新興諸国を含む全世界の国々が1国1票の国際民主主義に基づく世界政府的な機関を運営する体制を目指している。

       米国の参戦で、第一次大戦は米英が勝利し、約束どおり国際連盟が作られた。

      しかし連盟の運営は英国が牛耳り、結局のところ米国が目指した国際民主主義的な世界政府は実現せず、戦前と同様の、英国が他の列強を誘って英国好みの世界支配を続ける結果になった。

      何百年も欧州の国際政治に揉まれ、他の列強より少しだけ強い状態を維持することで隠然と覇権(大英帝国。パクス・ブリタニカ)を百年以上維持してきた英国は、新興国の米国よりもずっと国際政治の技能に長けていた。

      老獪な英国は、米国に「戦後の世界体制を好きなように変えて良いから、参戦して助けてくれ」と持ちかけて大戦に勝った後、米国好みの国際民主主義的な世界政府を形だけ作り、それを裏から牛耳り続け、英国覇権を維持した。英国に騙された米国は、もう英国に協力しないという意味で、欧州の国際政治に関与しない孤立主義の立場をとった。

       米国は「人道主義」「民主主義」を重視するので、国際連盟(や国際連合)を通じて1国1票の国際民主主義体制(世界政府)を作ろうとしたと考えられがちだが、私は米国が理想主義でなく経済的な、もっと深い動機を持っていたと考えている。

      植民地を最も多く持っていたのは英国であり、植民地の独立や民族自決の原則を進めていくと最も割を食うのは英国だった。

      1国1票の世界政府では、英国とその談合仲間である列強諸国の支配が弱まり、新興諸国が数の力で世界を動かしていくことになる。

      米国が第一次大戦で目指した植民地独立や国際連盟の創設は、大英帝国の解体、英国覇権の崩壊を意味していた。

       米国は、英国から最初に独立した新興国の兄貴分だ。大英帝国を解体して無数の新興諸国が独立することは、米国の分身を世界中に作ることにもなる。

      これは「米国革命」とも言うべき動きだ。

      この革命は第二次大戦の終結とともに達成された。

      American Revolutionは英国との独立戦争を意味するが、その戦いの延長にあるのが米国による大英帝国解体の策謀だ。

      米国が大英帝国を解体して無数の新興諸国を生み出す世界革命をやった理由は、米国が新興諸国を支配したいという政治的野心だけでない。

      もっと経済的な野心が大きい。

      大英帝国が維持されることで抑えつけられていた植民地を解放して経済成長を実現し、米国の資本家が新興諸国に投資して儲けられる新しい世界体制を作りたかったのだと考えられる。

      第二次大戦前の米国の、中国に対する寛容な政策を見ると、特にそれが感じられる。

       二度の大戦で、ドイツは英国と敵対して勝つことで大英帝国を解体しようとした。

      対照的に米国は、戦後の大英帝国の解体を条件に英国に協力して参戦することで、帝国を解体しようとした。

      ドイツは2度敗戦して失敗し、米国は2度参戦して勝った。

      しかし2度目の戦勝後も、1度目と同様、英国は戦後に米国を出し抜き、帝国の解体を防いだ。

      第二次大戦後、約束どおり国際連合が作られ、今度は本部をニューヨークに置いて米国が監督することで英国の隠然支配を禁じた。

      しかし英国は、国際連合の中心に位置していた米英と中ソの協調体制(安保理常任理事国体制)を、冷戦を引き起こすことで壊して国連を無力化した。

       英国は、米国の軍事産業に対し、ずっと儲けを続けられる恒久戦争として冷戦体制を売り込み、冷戦体制という恒久有事体制を通じて軍産英複合体が米国のマスコミを握れる状況を作り、米国民に冷戦思考を植えつけた。

      大英帝国は、軍産英複合体やNATOに形を変えて維持された。

      歴史区分でいうと第一次大戦以後の時代が近現代(modern)であるが、近現代の歴史の隠れた中心は、覇権運営をめぐる英米間や英米内部の暗闘・相克である。

      日独や中露は脇役でしかない。

      米英の相克の本質は、経済成長をめぐるものだ。

      英国や軍産複合体の利益に立つと、大英帝国やその後継である冷戦体制が永続することが好ましいが、それは米英が敵視する地域の経済成長を抑止する。

      18世紀に英国で発祥した産業革命が英国内だけにとどまっていたら、英国だけが強国になり、英国が世界を支配し続ける体制を維持できただろうが、歴史はそのように展開していない。

      産業革命はすぐに欧州大陸や世界に広がった。

      産業革命を世界に広げたのは資本家だ。資本家は、英国の国益よりも世界経済の成長によって自分たちが儲かることを望む。

       大英帝国や軍産複合体の戦略は、英国だけ、西欧だけ、西側だけが経済発展する策だ。

      東側、途上諸国、今でいうBRICS諸国の発展は阻害される。大英帝国や軍産複合体の利益を「帝国の論理」、資本家の利益を「資本の論理」とみなすと、人類の近現代史の根底のあるのは、帝国の論理と資本の論理の相克である。

      人権や民主主義は、その利権上の相克をきれいごとにして人々を動員するための詭弁である。

      人権好きの人々は資本家に騙されている。 (資本の論理と帝国の論理)

       帝国と資本の相克は当初、英国内で起きたはずだ。

      帝国の側は、新興勢力である資本家に貴族の地位を与えたりして懐柔を試みた。

      しかし資本家の一部は、英国から独立した米国のニューヨークにわたり、そこで大英帝国つぶしを策謀した。

      第一次大戦が長期化し、英独をはじめとする欧州の列強どうしが自滅的な戦争に陥ったのは、米英の資本家たちが敵対する列強の両方に戦費を供給し、世界中に植民地を持っていた欧州を自滅させ、宗主国の弱体化を見て植民地が独立して新興諸国になり、産業革命が欧州から世界に拡大し、世界中が経済発展して米欧の投資家がそこに投資して儲ける構図を新設しようとしたからと考えられる。

      第一次大戦後、米国は孤立主義の態度をとりつつ、米資本家はこっそりナチス政権下のドイツに投資していた。

      米国の投資家は、ドイツを再台頭させて再び英国と戦わせ、世界大戦を再誘発し、英国のせいで失敗した国際連盟に、米国主導の国際連合が取って代わることを準備した(しかし戦後の冷戦で再度英国にしてやられた)。

       人類の近現代史の中でもう一つ重要な裏事情は、米国の資本家がソ連(ロシア)や中国をこっそり支援してきたことだ。

      ソ連が主導した国際共産主義運動は、大英帝国を解体して無数の新興諸国を作る米国革命の別働隊として機能してきた。

      トロツキーはロシア革命時、亡命先のニューヨークから船に乗ってモスクワ入りした。

      大英帝国など列強の植民地がぜんぶ解放されていく中で、国民国家になるのが難しい国々は「国民」の代わりに「人民」の概念を使う(かなりインチキな)疑似民主主義である社会主義体制を導入した。

      米国革命とロシア革命が絡み合いつつ、大英帝国を国連的な世界政府に再編していくのが、ニューヨーク発の米国革命の全容だ。

      第二次大戦後に英国が画策して開始した米ソ冷戦は、痛烈な「反革命」だった。

      冷戦開始で、米国革命はいったんつぶされたが、ニクソン訪中以後に復活した。 (覇権の起源(3)ロシアと英米)

       かつて中国革命の「父」である孫文は、米国(ハワイの華僑の兄ら)から資金援助され、米国の軍艦に乗って広州に帰国した。

      孫文の跡を継いだ蒋介石の息子である蒋経国はソ連に留学した。

      中華民国は、米共和党の流れをくむと同時に社会主義をも標榜し、まさに米国革命とロシア革命の間に生まれた子供だ。

      中華民国の歴史には、共産党との内戦に負けて台湾に逃げた後、軍産複合体に頼って極度の反共に転じるという後日談までついており、近現代史の裏街道そのものだ。

       中国共産党が内戦で国民党を破って中華人民共和国を建国した後、米政府は中共と和解して国交を結ぶことを構想していた(中国白書)。

      しかし米国上層部では軍産英複合体がそれを阻止すべく、金日成をそそのかして南侵させ朝鮮戦争を勃発させた。

      冒険野郎の毛沢東も乗せられて中国軍を北朝鮮支援に行かせ、軍産英複合体の思惑どおり米中が仇敵どうしとなった後、朝鮮戦争は開戦前と同じ38度線で停戦する茶番劇で終わった。

      米中が再び敵対を解いたのは、米国の上層部で軍産のふりをした資本家側勢力(隠れ多極主義者。その後のネオコン)が過激にベトナム戦争をやって大失敗させ、その後始末の名目でニクソン大統領が訪中してからだ。

      人類の近現代史は、今に至るまで帝国と資本の相克が本筋だ。

       話が拡散したので元に戻す。

      こうした近現代史の本質的な流れの中に、わが日本の存在を組み入れていくと、なぜ米国が日本に真珠湾攻撃をさせて日米戦争を誘発する必要があったのかが見えてくる。

      米国(米英)が、戦前の日本を倒さねばならなかったのは、日本が「軍国主義」「帝国主義」だったからでない。

      帝国は欧州にいくつもあった。

      イメージ戦略の巧拙はあるが、当時の欧米は日本に劣らず軍拡重視だった。

      米国の分析者は、当時の米国が、日本の満州支配を非難する一方で、同時期にあったソ連の外モンゴル支配や、中国の新疆支配強化を非難しなかったと書いている。

       米国が日本をつぶさねばならなかった理由は、欧州が大戦で自滅すると、アジアでは、宗主国である欧州列強の支配力が低下して中国や東南アジアなどの植民地状態の地域が独立して新興諸国になって経済発展するという資本家好みの「米国革命」の展開になるのでなく、欧州列強が去った穴を日本が埋め、中国や東南アジアがぜんぶ日本の植民地(影響圏)になるだけで終わるからだ。

      米国革命の最初の試みだった第一次大戦の時、日本はうまく立ち回り、漁夫の利でアジア太平洋の支配力を急拡大した。

      米国の資本家が欧州で2度目の大戦を誘発するなら、その際に日本に漁夫の利を与えてはならなかった。

       第二次大戦で日本が中立もしくは米英側に立って参戦したら、英仏独ソが欧州戦線で疲弊するのをしり目に、日本は満蒙・新疆からインドまでの大東亜共栄圏を本格的に確立し、戦後の世界で米英の言うことを聞かなくなっていただろう。

      米国としては、せっかく世界的な大英帝国を解体しても、代わりにアジアが大日本帝国のものになるのではダメだ。

      大英帝国を維持したい英国も、帝国を解体したい米国も、第二次大戦をやるなら日本帝国を独伊の側で参戦させてつぶす必要があった。

      この点で米英の利害が一致した。

       そもそも戦前の日本は、英米(欧米)にとって「予期せぬ帝国」だったと考えられる。

      英国は、海洋のルート(スエズ運河、インド洋)からアジアを支配したが、極東に来て、大陸のルート(シベリア鉄道)からアジアに出てきたロシアと対峙した。

      英国は、産業革命(富国)と国民国家革命(強兵)を併せ持った日本の明治維新を支援して、日本が急速に近代国家になることを誘導し、ロシアに対決できる親英的なアジアの国にした。

      しかし英国は、日本が独自の帝国になって英国を含む全列強をアジアから追い出そうとするところまで行くと予測していなかったのでないか。 (覇権の起源(2)ユダヤ・ネットワーク)

       日本は歴史的に、外来の技術や制度を自国に合わせてコピーするのがうまい。

      奈良平安の日本は中国の国家制度をうまく採り入れたし、戦国時代の日本はポルトガルが火縄銃を種子島に伝えてから短期間で世界最大の鉄砲所有国になった。

      明治維新後の日本は、短期間で産業革命(工業化)を成し遂げ、国民国家制度もすぐに定着した。

      その後、欧州の列強を見習って帝国主義の戦略まで採り入れて大陸に進出したが、政治面で慎重にやらず不勉強でもあったので、米英に引っかけられて惨敗する結果になった。

      当時の日本政府は、米国が簡単に孤立主義から日米開戦に転換すると予測しなかったし、ソ連や中国と米国が裏で革命的につながっていることも軽視していた。

      日本人は昔も今も、米ソ両方の革命が隠し持つダイナミズムを理解していない(教条的、表層的に論じる人ばかりだ)。

       日本は劇的な敗戦後、米国の監督下で軍部や政界が権力から排除され、外務・大蔵主導の官僚機構が権力を握った。

      彼らは、日本の何が悪かったのですか、これからどうすれば良いですかと米国側に尋ねたに違いない。

      米国側はたぶん、産業革命や国民国家化は良かったが帝国化がまずかった、今後は帝国(地域覇権国)を目指す要素(国際的な諜報力、政治力、戦略立案力、地政学分析力など)をすべて排除しなさいと忠告しただろう。

      戦後の日本は、米国の忠告を忠実に守り、国際的な分析力が非常に低く対米従属以外の国際戦略を採れない国であり続けている。

       最近の日本政府は、首相の靖国参拝や「戦争犯罪」否定、有事法制強化など、日本帝国の再来を思わせる動きをしている。

      日本は戦前に戻るのか?。

      そうではない。むしろ逆だ。

      日本政府は、自分たちが先の戦争を肯定するほど、国際政治上で不利になり、中韓が日本と組めなくなり、日本の国際政治力が低下することを知っている。

      戦争肯定は、米国が日本と中韓を協調させて日本から出ていくことを困難にするし、日本が国際社会で一人立ちできず、弱体化しつつ対米従属を続けるしかない状態に追い込んでいる。

  33. 歴史を繰り返させる人々 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      イギリスの戦略を全否定した米ウィルソンイギリスに出し抜かれたベルサイユ会議CFRと覇権ころがし

  34. 米中逆転・序章 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      2016年3月1日  米国の大統領を選ぶ2大政党の予備選挙で、共和党はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンが優勢になっている。

      他の候補が意外な巻き返しをしない限り、早ければ3月1日のスーパーチューズデーで、遅くとも3月中旬までに2人が両党の候補に決まりそうだ(民主党はバーニー・サンダースが巻き返す可能性がまだ少しある)。

      米国は「2党独裁制」で、まず2党がそれぞれ各州ごとの選挙を積み重ねて2人の大統領候補を決め、2人の候補に対して11月初めに有権者からの投票が行われて決まる。

       トランプとクリントンのどちらが勝つかは、白人票がどのような配分になるかによる。

      民主党は「有色人票の8割以上と白人票の4割以上をとれば勝つ」と言われている。

      前回12年の選挙で有色人票を圧倒的に集めてオバマが再選され、クリントンはオバマの後継者とみなされているため、有色人票に関して民主党は盤石といわれる。

      その一方でトランプは、この20年あまりの「進歩的」な社会傾向の中で地位が低下し、貧富格差の拡大で低賃金化や失業に苦しんでいる中産階級以下の白人男性の圧倒的な支持を集めている。

      トランプは大金持ちだが、言い回しが白人のおっさん好みだ。

      白人票の多くをとれば、トランプが勝つ。

       米国の2大政党は、民主=リベラル・共和=保守という区分で、従来おおむねこの線引きに沿って論戦が展開し、大統領が選ばれてきた。

      だが今回の米大統領選挙は、テロ戦争の失敗、金融救済の末の貧富格差の増大などへの人々の不満が拡大し、2大政党の両方で、エリート(大金持ち、大企業、金融界、軍産複合体、国際主義者)と草の根(庶民、貧困層、国内優先派=「孤立主義者」)との対立が激化し、リベラルvs保守よりも、エリートvs草の根の戦いになっている。

      トランプは草の根に支持され、党内エリートが支援する他の候補たちに30%以上の差をつけている。

       民主党でも、草の根に支持されたサンダースが意外な健闘を見せ、一時はクリントンを打ち負かしそうだったが、2月27日のサウスカロライナでクリントンの圧勝後、サンダースの勝算が下がった(同州は黒人票が決め手で、前回大統領選でクリントンがオバマに大敗したが、今回クリントンはオバマの後継者ということで票を集めた)。

      クリントンは、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーから講演を頼まれて巨額の金をもらったと伝えられるなど、金持ちに支持された候補という印象を多くの人にもたれている。

       共和党内でトランプ、民主党内でクリントンが勝ったとして、これで両党内がまとまるのかが次の問題だ。

      エリート(主流派)と草の根が分裂する懸念が両党ともにある。

      共和党の主流派は、トランプをひどく嫌っている。

      国会議員の中には、トランプが候補になったらクリントンに入れると豪語する者が続出している。

      不動産業で成功したトランプは大金持ちで、軍産や金融界からの献金を必要とせず、大衆の不満をすくい取る形で軍産や金融界を好き放題に批判しているので、軍産と金融界に取り込まれている党主流派がトランプを攻撃している。

      トランプが候補になったら共和党は分裂崩壊するという見方が出ている(主流派の脅しという感じもするが)。

       同様の現象として、民主党では、クリントンが勝った場合、サンダースの支持者である草の根層が離反し、同じ草の根派のトランプに投票するのでないかと懸念されている。

      共和党のトランプ支持者の中にも、クリントンを「大金持ちの傀儡」「好戦派」として毛嫌いする傾向が強い。放映されるトランプの演説を見ようと大画面の前に集まって待っていたトランプ支持者たちが、クリントンが画面に映った瞬間に皆ブーイングしたが、サンダースが出てくると敬意を表して静かに見ていたというエピソードをFTが紹介している。

       新種の候補者が勝ったり、2000年のように得票が拮抗して決着がつかなかった時など、米国の2大政党制はこれまで何度も崩壊すると言われつつ、崩壊していない。

      今回も平然と延命するかもしれない。

      だが、米国の実体経済は悪化を続けており、貧富格差の拡大は今後も続く。

      近いうちに金融危機も起きそうだ。エリートvs草の根の対立はひどくなる一方だ。

      リベラルvs保守の2大政党制の構図は、911以来、ネオリベラル(人権主義を装った好戦派)vsネオコン(保守派の好戦派)の構図に転換しており、2大政党のどちらを選んでも好戦性の点で変わらなくなっている。

      こうした選択性の低下が改善されないままだと、2大政党制は崩壊する。

       クリントンは、人権や民主主義を非常に重視する「モダンな進歩派」を自称するが、実質的には、独裁政権を武力で倒すべきと考える好戦的な「ネオリベラル」だ。

      それは、国務長官時代にリビアのカダフィ政権を倒すことを強く主張してオバマに受け入れられ、リビアの大混乱を作り出したことに象徴されている。

      彼女の好戦性は、人権や民主を重視した結果というより、大統領になるため軍産複合体にすりよったからだ。

      武力による政権転覆は、無数の市民の死と、何十年もの大混乱、ISISなど残虐なテロ組織の支配など、人権や民主と正反対の状況につながることは、すでにイラク、シリア、リビア、アフガニスタンなどで実証済みだ。

      政権転覆が人権や民主につながるとクリントンが本気で考えているとしたら、大統領になる素質がない大間抜けだ。

       対照的にトランプは、イランとの核協約を破棄すると約束したり、イスラム教徒の米国入国禁止を提案するなど、一見、好戦派で人種差別者に見えるが、彼が打ち出している国際戦略は、意外なことに、非常に現実的だ。

      トランプの政策顧問であるサム・クロビス(Sam Clovis)は、トランプが外国における民主主義や人権を守るために武力を使うことはないと断言している。

       外国の独裁状態を改善するには、市場開放させて経済発展に導くと、いずれ政治的に開けていくので、そのような経済戦略の方が、軍事戦略よりも有効だとトランプは考えているという。

      トランプは「イラクのフセインやリビアのカダフィがいた方が中東は安定していた」と発言している。

      クリントンは、外国の人権や民主を守ることが米国の国益になると考えているが、トランプは国益をもっと狭く、実際の軍事脅威を受けた場合にそれを排除することだけに限定している。

      クロビスによると、トランプは「リアリスト」(現実主義者)だ。

      「リアリスト」は、米国の国際戦略の歴史の中で特別な意味を持つ言葉だ。

      リアリストは、武力による「民主化」を標榜して大失敗するアイデアリスト(好戦派)の対極にある姿勢で、アイデアリストが無謀な戦争をやりまくって大失敗した後、リアリストが出てきて「敵」だった国々と融和して強化してやり、国際政治の体制を根幹から覆すことが、戦後繰り返されてきた。

      最も有名なリアリストは、ニクソン政権時代の大統領補佐官として、ベトナム戦争の失敗から米国を救うためと称して中国と和解する策を打ち出したヘンリー・キッシンジャーだ。

       キッシンジャーは、国連安保理の体制など多極型の世界秩序を好んだロックフェラー家の傘下にいた。

      彼らは、多極化を阻止するために軍産英複合体が作った冷戦構造を壊す目的で、意図的に過激なベトナム戦争をやって失敗し、現実策をやるしかないとうそぶいてリアリストを自称しつつ、米中関係を改善してこっそり中国を強化してやったのでないか、というのが私の「隠れ多極主義」の見立てだ。

       ニクソンが開始した冷戦態勢の破壊を完成させたのが、同じく共和党のレーガン政権だった。

      レーガンは好戦派を装って大統領になり、米ソ和解や東西ドイツの統合、EU統合の開始など、世界を多極化していく流れを作った。

      レーガンは大統領選挙期間の初期、今のトランプに似て、共和党主流派から泡沫・変人扱いされ、攻撃されていた。

       911以来の米国は、ニクソンからレーガンにかけての時期と類似した流れを繰り返している。

      911で軍産複合体がイスラム世界を恒久的な敵とする「第2冷戦」の体制を構築しようとしたが、それが共和党のネオコンらによって、大失敗への道があらかじめ埋め込まれた無謀なイラク侵攻へとねじ曲げられ、米国は好戦的になるほど覇権(国際信用)を失う構図におとし入れられた。

      これらの展開は「新レーガン主義」を標榜したブッシュ政権下で起きた。 (ネオコンと多極化の本質)

       次の現オバマ政権は、リビアやシリアで好戦策の継続を容認する一方で、イランにかけられた核兵器保有の濡れ衣を解いてイランの台頭を引き出したり、シリア内戦の解決をロシアに任せるといった多極主義的な態度をとった。

      しかも同時にイラクやアフガニスタンからの軍事撤退を挙行して覇権を温存するという、単独覇権主義と多極主義が入り混じった姿勢をとってきた。

       ニクソン(共和党)からレーガン(共和党)への、アイデアリストが稚拙に失敗した末にリアリストが席巻する隠れ多極主義的な展開が、ブッシュ(共和党)の911から今後(2020年ごろ?)にかけて繰り返されるとしたら、共和党のトランプがリアリストの外交戦略を掲げて次期大統領を狙うことは、非常に大きな歴史的な意味がある。

      ロックフェラーや傘下のCFR(外交問題評議会)が、歴史の繰り返しを演出しようとしているなら、次の大統領は、クリントンでなくトランプだ(かつてロックフェラーはキッシンジャーを政権に送り込むのに4年待った。今回もクリントンが勝って4年待つかもしれないが)。

       トランプのリアリズム(現実主義)は「強い指導者が率いる国は、たとえ民主的でなくとも、安定的な成長ができるので(必要悪として)評価すべきだ」というものだ。

      トランプがロシアのプーチンを支持賞賛していることが、彼のリアリズムを象徴している。

      トランプは「米国がプーチンを敵視し続けるほど、中露が結束して米国に対抗してくる。

      これを防ぐためにロシアとの和解が不可欠だ」と考えている。

      プーチンを支持するトランプは「ウクライナ問題は欧州の問題で、米国が介入すべきことでない」という姿勢だ。

      この姿勢は、米国の軍産がNATOや欧州を引き連れてウクライナの反露政権を支援し、ロシアとの対立を続けている現状と真っ向から対立する。

      またトランプは「アサドより悪い独裁者が世界にはたくさんいる(アサドはそんなに悪くない)」と言って、シリアの停戦や安定化をロシアに任せる姿勢をとっている(すでにオバマがこの姿勢を隠然ととっている)。

       共和党の選挙参謀を長く続けていたカール・ローブは、トランプが選出されると大変なことになると党主流派に対して警告している。

      共和党主流派は軍産複合体と金融界の連合体だ。

      トランプが今の破裂寸前まで膨張した金融バブルに対してどんな政策をとるか見えていないが、彼が軍産の好戦的な軍事策をつぶそうとしていることは「リアリスト」の自称が雄弁に物語っている。

      (トランプは「本当の米国の失業率は当局発表の5%でなく28-42%だ」と、失業率をごまかして景気回復を演出する米連銀のインチキを暴露している。それを拡大解釈すると、彼が大統領になったら金融延命策をつぶしにかかると予測できるが、そんなことを本当にやるのかまだ不明だ)

       2月25日ごろ以降、共和党の予備選挙でトランプの勝利が決定的になってきたタイミングで「何が何でもトランプを引きずりおろす」という感じの動きが党内やマスコミで始まり、共和党主流派に位置するCFRもトランプを非難する宣伝を開始した。

      だが、これは明らかに遅すぎる動きで、茶番劇の感じがする。マスコミの中にも「今ごろトランプ非難を強めても遅すぎる」といった分析が目立つ。

       共和党の予備選でトランプの後塵を拝しているルビオとクルズの陣営が合体し、どちらかが大統領でもう一人が副大統領候補になれば、トランプに勝てるかもしれない。

      だがルビオとクルズは互いに批判を続けており、合体を提案する党内の意見は無視されている。

      このあたりも、CFRの勢力が2人に対立をけしかけて合体を阻止し、トランプを優勢にしている感じがある。

       共和党内のネオコンも、トランプを敵視するふりをして優勢にしているのでないかと感じられる。

      共和党のネオコンの指導者的な論客であるロバート・ケーガンは2月下旬、トランプ優勢の流れが決まった直後のタイミングを見計らって、トランプを阻止するためにクリントンを支持すると表明した。

       ネオコンは共和党支持だが、歴史を見ると、1970年代まで民主党支持で、独裁政権を転覆して民主化すべきと主張する好戦リベラルだったが、レーガン政権の発足とともに共和党に移った「転向者」だ。

      ネオコンは共和党ブッシュ政権で過激策をやって米国の覇権を自滅に追い込んだ後、近年また民主党に再接近していた。

      ケーガンの妻のビクトリア・ヌーランドは、民主党の現オバマ政権の国務省に入り、ウクライナの政権を反露側に転覆させる画策をやった張本人だ。

      ヌーランドは国務長官だったクリントンに引き上げられ、国務省内で頭角を現した。

       ケーガンのクリントン支持表明は、妻であるヌーランドの動きからして不自然でないが、クリントンの選挙活動にプラスなのかどうか、大きな疑問だ。

      クリントンがサンダースを破ったら、民主党内の草の根勢力をどう取り込むかがその後の課題になるが、ネオコンの頭目ケーガンのクリントン支持は、クリントンがネオコンの一派である事実を民主党の草の根の人々にますます強く印象づける点でマイナスだ。

       トランプは、軍産やネオコンの好戦策が失敗してもはや米国民に支持されていないことを見抜き、自分が金持ちで軍産から政治資金をもらう必要がないことから軍産やネオコンの策を容赦なく批判することで選挙戦を成功させてきた。

      軍産やネオコンと結託しているのがイスラエルで、イスラエル右派を支援する財界人シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson、カジノリゾート経営)が、トランプを阻止するための政治資金を主に出してきた。

      アデルソンは今回クリントンを支持している。

       だが、トランプがユダヤ人やイスラエルと敵対しているかといえば、むしろ逆だ。

      トランプの娘のイヴァンカは、正統派ユダヤ教徒の財界人(Jared Kushner、新聞経営)と結婚し、ユダヤ教に改宗している。

      トランプはイスラエルの右派のネタニヤフ首相を長く支援してきたことでも知られ、古くからの親イスラエル派だ。

      トランプが軍産の言うことを聞かなくても、ネオコンやシオニストは簡単にトランプを非難できない。

       これまで米国の世界戦略は、軍産やイスラエルや英国に牛耳られ、世界の面倒を米国が見ることが良いのだという「国際主義」の立場がとられ、世界のことより米国内を良くするのが先だという国内優先主義は「孤立主義」としてマスコミなどで批判されてきた(対米従属の日本でも、米国の孤立主義化は良くないことと喧伝されている)。

      しかし、911から15年間ずっと失敗ばかりの国際主義という名の好戦主義につき合わされてきた米国民は、国内の貧富格差の拡大、実体経済の悪化もあって、国際主義を嫌い、孤立主義の傾向を強めている。

      トランプはその流れに乗って、リアリストの姿勢を採用して孤立主義的な政策をとろうとしている。

      これが成功すると、軍産やイスラエルは影響力を失う

      トランプは表向き、好戦的な感じのことを言い続けている。

      イスラム教徒の米国入国の一時禁止の提案は、軍産のイスラム敵視のテロ戦争の構図に乗っている。

      実際には、イスラム教徒の入国を禁止したとたん、米国内でいくつもの提訴が裁判所に起こされ、米政府は裁判に負けてイスラム教徒の入国を認めざるを得なくなる。

       トランプは、オバマがイランの核兵器開発の濡れ衣を解いて締結した協約を廃棄するとも言っている。

      これはイスラエルや軍産が強く希望しており、トランプはそれに応えてこの策を出した。

      しかしイランは昨夏に経済制裁を解かれた後、欧州やアジア諸国などと急速に経済関係を強化しており、米国だけが協約を破棄してもイランは他の諸国と貿易して十分豊かになれる道を歩んでいる。

      トランプがイランとの関係を断つことは、イランを弱体化せず米国を孤立させるだけの「隠れ多極主義」的な戦略になる。

       延々と書いてしまったが、日本にとって重要な、日本や中国に対するトランプの姿勢についてまだ書いていない。

      トランプは「日本や韓国、ドイツやサウジアラビアは、米国の安全保障にぶら下がるばかりで、米国の安全にあまり貢献していない」と言い、在日・在韓米軍の撤退も含め、日本や韓国との安保関係を再交渉する姿勢を見せている。

      軍産系の勢力は「日本は(思いやり予算などを米国が要求するだけ出し続け)米国に貢献している。

      は日本を批判するな」といった論調を流布している。

      「米軍が日韓から撤退すると、安保的な支柱を失った日韓は独自に核武装しかねない。トランプは東アジアを核兵器開発競争に追い込もうとしている」といった批判も、軍産(日本外務省傘下?)っぽい駐日英文メディアが流している。

       歴史を見ると米国は、かつてニクソン政権の時代にも、在日米軍の撤退を模索し、日本政府はそれに呼応して米軍抜きの日本の自主防衛策を「中曽根ドクトリン」として立案した。

      これは「米国が出ていくなら仕方がない」という感じで立案されたが、その後米国でウォーターゲート事件が起きてニクソンが追放され、日本でニクソンに呼応していた田中角栄首相もロッキード事件で失脚させられ、日本は「まだ自主防衛できる力がついていません」と米国に懇願して沖縄に米軍基地を集中させて駐留を続けてもらう策に出た。

      これ以来、外務省が握っている日本の安保戦略は、米軍に永久に駐留してもらう策になり、対米従属が日本の絶対の国是になっている。

       トランプが大統領になると、ニクソンから40年あまりの時を経て、再び米国が在日米軍を撤退させようとする動きを強めることになる。

      在日米軍の撤退話は、ここ数年、海兵隊のグアム移転構想などで、すでに何度も浮上しては消えている。

      日本は、辺野古の計画や思いやり予算など、米国の無体な要求を何でも飲むことで、在日米軍を引き留めている。

      日本の強度な対米従属策を、トランプがどんな方法で乗り越えようとするのか、まだ見えていない。

      トランプ政権になると、日本の対米従属派にとって厳しい時代が来ることは間違いない。

       トランプは「中国が米国の雇用を奪っている」「中国からの輸入品に45%の関税をかける」「中国で生産する米国企業に、生産拠点を米国に戻すことを要求する」などと、中国に対する強硬姿勢を見せている。

      すべて経済面ばかりで、政治面では中国敵視のことをあまり言っていない。

      中国が米国民の雇用を奪っているという言い方は、この四半世紀の歴代の大統領候補の多くが発しており、目新しくない。

      選挙戦では人気取りのために中国に対する強硬姿勢を示しても、当選するとボーイングやGMの中国での販売増の方が重要になり、中国におもねる姿勢をとるのが、歴代大統領によくある姿勢だ。

      対立候補のルビオは「君のネクタイも中国製だろ(中国からの輸入を拒否すると着るものがなくなるよ)」とトランプを揶揄した。

       トランプが大統領になって在韓米軍の撤退を考えるとしたら、まず北朝鮮の核問題を解決せねばならない。

      北核問題に対する米国の態度はブッシュ政権以来、一貫して「中国に任せる(押しつける)」ことだ。

      トランプは、在韓米軍を撤退するために、政治的に中国の言いなりになるかもしれない。

      北が核を持ったままの北核問題の「解決」がありうる。

       このほか、トランプが地球温暖化問題を「インチキだ」「米国の経済成長を阻害するための中国の謀略だ」と批判していることも興味深い。

      たしかにCOP15以降、温暖化問題は中国の主導になり、中国など新興諸国が米国など先進国から支援金をむしり取るための道具に転換している。

      トランプは荒っぽい言い方ながら、いろんなことを的確に見ている。

       温暖化問題は、もともと米金融界の発案で捏造された構図である。

      共和党系の分析者(David Stockman)は「共和党はカネに目がくらみ、かつての信奉していた自由市場主義を捨てて、金融界が捏造した温暖化問題や、リーマン危機後の金融界救済策など、自由市場主義と正反対なものをどんどん受け入れた挙句、行き詰っている。

      共和党は、完全に行き詰って破綻しない限り再生しない。

      トランプは、この行き詰りを突いて人気を集めている。」という趣旨の指摘をしている。

       長々と書いたが、まだ書き足りない。

      だがトランプが大統領になると決まったわけでもないので、今回はこのぐらいにしておく。

  35. 覇権の起源 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      タックスヘイブンを使った世界支配とその終焉ロン・ポールが連銀をつぶす日ユーロ圏の危機と統合

  36. 覇権の起源:ユダヤ・ネットワーク (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      ブッシュが再選されればアメリカは徴兵制に?イスラエル・ユダヤ人の戦略性

  37. 覇権の起源:ロシアと英米 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      イラン・コントラ事件はイスラエル引っかけ策?コントラ支援も最初から想定されていた過剰な戦争繰り返されるイラン・コントラ  また最近、イラクの新聞で明らかにされたことは、米軍はシーア派ばかりでなくスンニ派のゲリラをも秘密裏に支援しており、イラクで「アルカイダ」と呼ばれているスンニ派ゲリラ勢力の中には、実は米軍やCIAに支援されて動いている組織が多いことだ。 米軍が撤退したら、アルカイダは後ろ盾を失い、スンニ派の旧バース党系勢力によって駆逐され、雲散霧消するだろうから、スンニ派とシーア派の内戦はおさまる方向になると私は予測している。 ▼イラクの石油密輸をゲリラに奨励する米軍ブッシュ政権でもいずれ起きるドル下落

  38. 資本主義の歴史を再考する (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:12 by hikoichi 差分

      フセインを悪者に仕立てた米英のプロパガンダアメリカの戦力を低下させるCIAの解体延々と続きそうなイラクのゲリラ戦

  39. FrontPage (106d)
  40. InterWiki (106d)
  41. PHP (106d)
  42. PukiWiki​/1.4​/Manual (106d)
  43. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/A-D (106d)
  44. PukiWiki​/1.4​/Manual​/Plugin​/E-G (106d)
  45. WikiEngines (106d)
  46. やがて破綻するドル (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      権の背景は民主主義の建前ドイツとイタリアの建国を予約する

  47. ニクソン、レーガン、そしてトランプ (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      中国は世界覇権にならないが獅子を眠り続けさせたい勢力と、起こしたい勢力の相克モンゴル帝国はイスラムからの発想イスラムが作った世界帝国への勧誘としての鄭和の大航海世界秩序の後ろの方に並ばされた中国人とイスラム教徒

  48. ネオコンの表と裏 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      中産階級を必要とする資本家社会主義も資本家のための体制?

  49. 世界史解読:欧州の勃興 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      2015年12月28日  国家に戦争はつきものだとか、国家は戦争する装置だといわれる。 昔は、領主や国王が持つ領土拡張欲が戦争を生んだが、フランス革命後、世界のすべての国が「国民国家」(もしくはその擬似的なかたちである社会主義国家など)の形式を採るようになり、戦争が持つ意味も変わった。

      欧州や中南米などを見ると、19世紀に国民国家群が形成されたとき、英国が仕切った国際的な談合によって国土が重複しないように配置され、領土紛争が戦争に発展しにくい仕組みになっている。 (覇権の起源)

      (フランス革命後、国民国家という巨大なちからを持つ装置が創設されたが、独裁的な権力を民主的に得たナポレオンがめざしたのは、戦争による全欧州征服だった。こうした国民国家が持つ暴力性を封じ込めるため、諸帝国間で談合しつつナポレオンを破った英国が作ったのが、英国と同じぐらいの大きさの国民国家を世界中に無数に作り、大きな国が小さな国を戦争で征服することのないようにした上で、世界中を国民国家にすることだった。中国やブラジルといった大きな国は、英国が分割できなかった末の産物だ)

       だがその後も、国境線をめぐるわずかな土地の紛争をめぐり、隣接する諸国間の戦争や対立が世界中で延々と続いている。

      その理由は、戦争が、最も手っ取り早い国民国家装置の加速手段だからだ。

      力づくで領土民を支配していた封建国家と異なり、国民国家は領土民を「国民」と名づけ「主権在民」「国家の主人」とおだててその気にさせ、国家のもとにすすんで結束させ、喜んで国家に貢献させてタダ働きさせ、納税や兵役をさせることが不可欠だ。

      国民がその気になって(だまされて)愛国的にがんばるほど、国民国家は成功する。

       国民国家の結束を、最も簡単に促進できるのが「戦争」を使ったナショナリズムの扇動だ。

      「震災復興」や、五輪など「スポーツ」も、国民の結束を加速できる(だからプロパガンダ機関であるマスコミはこれらのテーマを好む)。

      だが「他国の脅威」を煽る方が効率が良い。

      世界のすべての領土紛争は、為政者が必要なときに国家を結束させるための道具として、わざと解決せずに残してある。

      「両国がその海域にこだわるのは海底油田があるからだ」などという解説は、大体が目くらましの誇張である。

       世界の国民国家体制は、ナポレオン戦争の教訓から、英国主導の国際談合によって戦争が起きにくいように工夫して作られたが、フランス革命と同時期に起きた産業革命後の100年間の経済成長期が終わり、世界経済が行き詰まると、各国の為政者が無茶をするようになって二度の大戦が起きた。

      戦争の末に、覇権国が英国から米国に移転した(米国は、覇権をもらう条件で参戦した)が、英国は戦後の米国の覇権戦略の黒幕になろうと画策して米ソ冷戦を誘発し、第二次大戦の戦時体制がそのまま冷戦体制に受け継がれた。

      その結果米国は、好戦的な「軍産複合体」が権力中枢に居座り、マスコミや議会も軍産の影響下に置かれ続けた。

      米国は、戦争装置に取り付かれた状態で覇権国を続け、米国がやる戦争はすべて軍産によって長期化(泥沼化)の罠を仕掛けられた。

       米国の歴代の大統領たちは、軍産の支配から逃れようともがいた。

      若いケネディは、直截的にソ連と和解しようと試みて殺された。

      まっすぐやってはダメだ。

      むしろ逆に、軍産が好む策を過激、過剰にやってわざと失敗させ、失敗からの挽回と称して軍産が作った体制を壊す方がうまくいった。

      ベトナム戦争失敗後のニクソン政権による中国との和解や、ソ連敵視を強めると言いつつソ連を和解して冷戦を終わらせたレーガン政権がこの例だ。

      米国が軍産の支配を乗り越えるには、中国やロシアを引っ張り上げ、世界の覇権構造を多極化するのが一つの手だ。

      イラク侵攻後の現状も覇権を自滅させており、この手法といえる。ご存じのとおり、ニクソンやレーガンらの手法を、私は「隠れ多極主義」と呼んでいる。

       1980年代に冷戦が終わる過程で、覇権の黒幕だった英国は、覇権の主役を軍事から経済(金融)に切り替え、米国(米英)が債券金融システムの拡大(バブル膨張)を主導して巨額の富を創造し、その資金力で世界支配を続ける金融覇権体制を作ってそちらに移行した。

      同時期に、英国が見捨てた軍産にとりついて米国の覇権中枢に入ったのがイスラエルで、冷戦直後の湾岸戦争(イラクをクウェート侵攻に誘導し、それを叩いた)が「軍産イスラエル」合弁の初仕事だった(79年のイラン革命などもイスラエルの影があったが)。

      軍産イスラエルは米軍をイラクに長期駐留させ、イスラエルの番犬として機能させたかったが、当時のパパブッシュ政権はそれを回避し、イラク軍をクウェートから追い出しただけで、米軍をイラクに入れなかった。

       次のクリントン政権は金融覇権重視で軍産イスラエルに冷たかったが、その次の息子ブッシュ政権ができた直後、軍産イスラエルは911テロ事件を誘発して華々しく政権中枢に返り咲き、現在まで続く「テロ戦争」が始まり、米国は劇的に好戦的な軍事主導に戻った。

      911は、米国の覇権戦略の主導役を乗っ取る「クーデター」だった。

       テロ戦争の戦略は、1980年代からの「金融覇権体制」に対する配慮がある。

      一般の戦争は国家間で経済を潰し合うことであり、戦争を世界規模でやると世界経済が破壊される。

      20世紀の二度の大戦のころは、世界で経済成長する地域が限定されており、その地域の全体の成長が鈍化した後、大戦でいったん全部を破壊して再建する「リセット」のために起こされたなどと説明されている。

      対照的に冷戦後の世界は、BRICSなど新興市場諸国に成長力があり、世界経済の成長余力がかなり大きい。

      現状で国家間の世界大戦が起きると、米欧(先進国)と中露(新興市場)の戦いになり、今後の世界経済の成長の原動力となる中国など新興市場が破壊されてしまう。

      これでは資本家の賛成を得られない。

       テロ戦争は、軍産系の諜報機関が間接的に育てたテロリストたちが、世界のどこかでテロをやり続け、それを取り締まるためと称し、米国や同盟諸国の軍隊が、テロリストの本拠地とされるイスラム世界のどこかの国で戦争し、長期駐屯する戦略だ。

      テロ戦争がらみで戦争が行われたアフガニスタンやイラクは、いずれも内戦や経済制裁で事前に経済が破壊されており、そこで戦争が行われても追加的に破壊されるものが少なく、世界に対する経済的な悪影響が少ない(ものすごく悪くて下品な言い方をすると、アフガニスタンやイラクは「戦争の公衆便所」だった)。

      その意味でテロ戦争は、資本家をも納得させられる。

       テロリストは、米国の諜報機関の傘下で涵養され、米イスラエルの都合の良いときに、都合のいい場所でテロをやらせられる。

      テロ戦争は低強度で、永久に続けられる。

      CIAは、テロ戦争が40年続くと吹聴していた。

      戦争構造が続く限り、政府は有事体制をとり続け、マスコミは当局の言いなりの報道を続けるし、反戦的、反政府的な言論を非国民扱いして排除できる。

      軍産にとって非常に都合のいい「理想的」な戦争戦略だ。

       テロ戦争の中で、テロリスト役をするのは、イスラム教徒だけだ。

      その理由は、軍産と組んでいるイスラエルが、四方をイスラム教徒の敵に囲まれており、イスラム教徒=テロリストの構図が世界に定着すると、イスラエル=善、イスラム教徒=悪の構図ができて、イスラエルに好都合だからだ。

      テロ戦争が起きなかったら、イスラエルはパレスチナ人に対する人権侵害に関して、世界から悪のレッテルをもっと強く貼られていたはずだ。

      イラクなど、イスラエルの敵だった中東の国々に、テロ戦争の一環で米軍が駐留してくれることも、イスラエルの安全に貢献する。

       テロ戦争は、軍産イスラエルにとって素晴らしい戦略だったが、運用が(故意に)稚拙で失敗した。

      テロ戦争は、低強度で長期的にやるべき戦争だったが、911の翌日から、高強度の大戦争をやりたがる勢力(ネオコン、タカ派)が米政権内で騒ぎ出した。

      国防副長官など政権中枢の要職を占めたネオコンは、イラクに大量破壊兵器(WMD)保有の濡れ衣をかけて侵攻し、占領の泥沼にはまるイラク戦争を引き起こした。

      ネオコンはイスラエル右派系の勢力だが、事後にWMDの濡れ衣が世界にばれてしまうずさんな謀略の組み方で、ベトナム戦争以来の「過激にやってわざと失敗させる」隠れ多極主義のやり方が散見された。 (ネオコンの表と裏)

       イスラエル自身は、イラク侵攻に賛成していなかった。

      イラクのフセイン政権(スンニ派)はイラン(シーア派)と敵対し、米イスラエルにとって好都合な、イラクとイランの恒久対立の構図を持続してくれていたが、フセインが倒され、ネオコンが提唱する「中東民主化」の一環でイラクが国民の6割を占めるシーア派の政権になると、イラクがイランの傘下に入ってしまう。

      その後現実になったこの展開を、イスラエルは事前に懸念し、フセイン政権を潰すなら、その前にイランを政権転覆して無力化してからにしてほしいと米国に伝えていたが、ほとんど無視された。

       イラク侵攻は、軍産イスラエルによる恒久低強度なテロ戦争を、短期間で自滅的に破綻させる効果(たぶん意図)があった。

      ネオコンは、テロ戦争の首謀者でなく(下手な運営による未必の故意的な)破壊者だった。

      イスラエルは次善の策として、イランに核兵器保有の濡れ衣をかけ、永久に経済制裁し続けるイラン核問題の構図を強化した。

      イランは、フセイン後のイラク(のシーア派地域)を手に入れながらも、米欧に経済制裁されて窮した。

       11年に米軍がイラクから撤退し、同年5月には米海兵隊がテロ戦争の「敵」アルカイダの指導者とされたオサマ・ビンラディンを殺害し(たことにして)、テロ戦争は終わりになったように見えた。

      私は「テロ戦争の終わり」と題する記事を何本か書いた。

       だがその後、14年にISISが登場し、テロ戦争の構造が復活した。

      ISISは、イラク駐留米軍が11年に撤退するまでの期間、米軍が運営する監獄の中でイスラム過激派による組織作りを黙認するかたちで間接育成した組織だ。

      イラクから軍事撤退し、ビンラディンを殺したことにして、テロ戦争を終わらせようとしたオバマの策に対する軍産からの反撃がISISだった。

      米軍は、オバマ意向を無視してISISを支援し、アサド政権を倒してシリアを無政府状態・恒久内戦の「中東のアフガニスタン」にしようとした。

      同時期にリビアも、カダフィ政権が潰されて分裂し、内戦状態に陥り、ISISが入り込んだ。

       いったんアフガン状態に陥ると、安定を取り戻すのが困難になる。外部勢力が仲裁し、武装勢力どうしで連立内閣を作っても、武器が多く残っているので、少しの内紛ですぐ内戦に戻ってしまう。

      米政府内は軍産系の勢力が強いので、米国が仲裁しても「ふりだけ」でしかなく、うまくいかない。

      何とか軍産の中東恒久戦争策を抑止したいオバマが進めたのは、イランとロシアにISIS退治をさせることだった。

      オバマ政権は、昨年からイラン核問題を解決することに注力した。

      イランは以前から、ISISと戦うアサド政権を支援していたが、経済制裁されているので資金難で、苦戦していた。

       イランに核兵器保有の濡れ衣を着せて経済制裁することは、フセイン政権が潰れた後のイラクを傘下に入れて強くなるイランをへこますため、イランを脅威とみなすイスラエルが、米政界に影響力を行使してやらせていたことだった。

      オバマは、米議会やイスラエルからの圧力を何とかはねのけ、今年7月、イラン制裁の解除にこぎつけた。

       そしてオバマは、その前後からケリー国務長官を何度もロシア側と会わせ、プーチンがシリア内戦の解決に動くよう働きかけた。

      ロシアは当初、シリアの反政府派とアサド政権を和解させる交渉の仲介を続け、効果が上がらないとわかると、アサド政権の依頼を受けて10月からロシア軍をシリアに進出させ、直接にISISやアルカイダを空爆し始めた。

       露軍のシリア進出によって、ISISが退治されていく流れがほぼ確定した。

      ISISはシリアだけでなくイラクでも退治される方向だ。最近の記事に書いたように、ISISが占領するイラクの大都市モスルを奪還しようとするスンニ派民兵(ハシドワタニ)とクルド軍(ペシュメガ)を訓練するため、12月初めにトルコ軍が北イラクに越境進軍(増派)した。

      イラク政府はトルコ軍の侵入に猛反対し、オバマ政権もイラクに味方してトルコに圧力をかけた結果、トルコ政府は12月20日に軍の撤退を決めた。

       しかしこの撤退は、ISISのモスル支配が今後も看過されることを意味しない。

      イラク政府は、トルコの進出に触発され、イラク政府軍とシーア派民兵団が、ISISからの奪還戦を展開してきたラマディの奪還が完了したら、次はモスルの奪還に着手すると12月25日に表明した。

      12月27日にはイラク軍がラマディの中心街にある政府庁舎をISISから奪い、ラマディ奪還がほぼ完了した。

      シーア派主導のイラク政府(とその背後のイラン)は従来、スンニ派地域であるモスルの奪還に消極的だったが、トルコがモスル奪還を支援して自国の影響下に入れようとする動き出したのを見て、これまでの消極性を捨てて、積極的にモスル奪還へと動き出した。

       イラク政府が本腰を入れるので、トルコはいったん撤退することにしたのだと考えられる。

      イラク政府が口だけで実際の軍事行動をしない場合、しばらくするとまたトルコ軍が北イラクに出てくるだろう。

      イラク政府と、背後にいるイランは、これまでないがしろにしてきたイラクのスンニ派地域の安定化に動かざるを得なくなっている。

      ISISは来年、イラクより先にシリアで退治され、余力が出た露空軍は、イラク政府の要請を受けてイラクのISISを空爆するようになるだろう。

      露軍が入ってくると、米軍はイラク政府に「露軍か米軍かどちらかを選べ」と迫るだろう(すでに迫っている)。

      イラクは露軍を選ぶので、米軍はイラクから出ていくことになる。

       こうした展開は、イスラエルにとって脅威だ。

      ISIS退治後の中東は、ロシアがシリアとイラクの制空権を持ち、地上ではイランが、イラク、シリア、レバノンまでを影響圏にする。

      イスラエルは、シリアとレバノンにおいてイランと接することになる。

      イスラエルの仇敵であるレバノンのヒズボラも強化され、露軍の制空権もあるので、イスラエルが簡単に戦いを挑める相手でなくなる。

      シリアはうまくいくと来年中に内戦が終結し、選挙を経て、おそらくアサド政権の続投で安定し、シリア政府は国際社会に復帰する。

      そうなると次に問題になるのが、イスラエルが1967年の中東戦争でシリアから奪ったまま占領しているゴラン高原だ。

      イスラエルに対し「ゴラン高原をシリアに返せ」という要求が国際的に強まる。

       イスラエルは米国の要人を盗聴して弱みを握ったり、ユダヤ系が多いマスコミに歪曲報道をさせたり、ユダヤ系の金持ちを動かし(脅し)てイスラエルに楯突く勢力の資金を枯渇させたりして、米国の政界を牛耳り、世界最強の政治力を保持し、覇権戦略をねじ曲げてきた。

      だが今の中東は、米国の覇権戦略が破綻し、代わりに露イランが動いてISISが退治されていき、米国がそれを容認せざるを得ない事態だ。

      ISISは、米軍や同盟国であるトルコに支援されているが「テロ組織」なので、露イランがISISを退治していくことに誰も反対できない。

       イスラエルが、いくら米国を動かす力を持っていても、露イランがISIS退治して中東への支配力を強めることを、止めることができない。

      イスラエルは、覇権国である米国を支配しても、自国の安全を守れなくなっている。

      米国中枢は、しばらく前から、オバマと軍産イスラエルの暗闘になっているが、オバマは今年、露イランを動かし、軍産とイスラエルを無力化することに成功した。

       そもそもイスラエルの軍部・諜報界には、ISISにアサド政権を倒させることがイスラエルにとって安全を向上させず、むしろ危険を増す転換になるとの懸念が、以前からあった。

      アサド政権はゴラン高原を奪ったイスラエルを敵視しているし「独裁」でもあるが、イスラエルにとって、敵対したまま安定した関係を持てる利点があった。

      アサドが倒されると、シリアはイスラム過激各派がバラバラに支配する無政府状態になり、それらの中にはイスラエルを越境攻撃しようとする勢力が出てくる。

      アサドが独裁的にシリアを安定させてくれていた方が良かったということになりかねない。

      ISISの指導者バグダディは、シリアを乗っ取ったら、その後、西岸やガザに進出し、イスラエルを標的にすると宣言するメッセージを流している。

       イスラエルは、シリアが内戦化した後、ゴラン高原の隣接地域にいたアルカイダ系のヌスラ戦線と話をつけ、ヌスラの負傷兵をゴラン高原の軍病院で治療してやり、ヌスラがイスラエルを攻撃してこないようにした。

      イスラエルは、ヌスラを手なずけることで、それ以外のイスラム過激派がイスラエルに越境攻撃を仕掛けてこないようにした。

      イスラエルが、シリアの内戦化やアサド政権の崩壊を懸念していることは、こうした状況からもうかがえる。

       イスラエルが米政界を牛耳っており、イスラエルにとってアサド続投の方が望ましいなら、米政界や米軍によるアサド転覆の試みをやめさせればよい。

      それができないのだからイスラエルは米政界を牛耳っていると言えない、と考える人がいるかもしれない。

      それは間違いだ

      。話がどんどん複雑になって恐縮だが、米政界を牛耳っているのは「イスラエル政府」でなく、在米ユダヤ人を中心とする「イスラエル右派(過激な極右)」である。

      米政権中枢に入ってイラク侵攻を起こしたネオコンはその一派だ。

       ユダヤ極右は、親イスラエルを掲げているが、世界のイスラム教徒が激怒する、イスラム聖地への冒涜や、パレスチナ人殺害、中東和平への妨害を繰り返している。

      イスラエルの安全よりも、米イスラエルとイスラム世界との敵対を扇動することを優先している彼らが、AIPACなど在米イスラエル団体を通じて米政界を牛耳っているため、米国の戦略は、イスラエルの安全を無視して中東を無茶苦茶にする策になっている。

      イラク侵攻前、イスラエルの諜報界が「イランが強化されてしまうぞ」と懸念を示唆したのに、米国のネオコンは無視して侵攻を挙行したのも、同様の構図だ。

       今後、露イランなどがISISを短期間に全滅させられず、戦線が膠着した場合、ISISは西岸やガザに入り込む傾向を強めるだろう。

      2国式(パレスチナ国家創設案)の中東和平が頓挫したままなので、2国式を前提に作られたパレスチナ自治政府(PA)は今夏ごろから崩壊に瀕しており、いつPAが正式に解散してもおかしくない。

      ケリー国務長官ら米高官が、何度も警告を発している。

      イスラエル政府は極右に乗っ取られ、和平交渉を担当する外務大臣すら置かれず、イスラエル外務省は過激な発言を繰り返す極右の次官(Tzipi Hotovely)に握られたままだ。

       PAが潰れると西岸の混乱に拍車がかかり、パレスチナ人の若者が過激な思想に走り、ISISが組織を作りやすくなる。

      西岸が崩れると、ガザでも、ハマスより過激なISISが台頭する。

      この展開は、イスラムとユダヤの過激派どうしがパレスチナ・イスラエルで戦うことになり、まさにイスラエル極右が望むところだ。

      従来イスラエル政府は、PAやガザのハマスと対立しつつも連絡を取り合って何とか安定を維持してきたが、ISISがPAやハマスを押しのけると、イスラエルは連絡する相手もいなくなり、自国の不安定化を看過するしかなくなる。

       いずれパレスチナの混乱が頂点に達すると、ユダヤ極右がエルサレムの「神殿の丘」を完全に乗っ取り、イスラム教徒を追い出して「ユダヤ第三神殿」を建設しようとするだろう。

      これはキリスト教右派がいうところの「イエスの再臨」「ハルマゲドン」につながる事態だ。

      ユダヤ極右は、聖書やコーラン(クルアン)に描かれている「終末」を連想させる状況を意図的に作り、イスラム・キリスト・ユダヤの3つの一神教(実はひとつの「一神教」の3宗派)の世界中の信者たちを扇動し、宗教戦争を起こそうとしている。

      ISISとユダヤ極右は、事態を激化するための「同志」である。

      半面、プーチンやオバマは、この危険な「ハルマゲドンごっこ」をやめさせようとしている。

      これは宗教のふりをした政治の劇だ。

      「ごっこ」じゃないぞと言う人は「軽信者」か「狂信者」だ(あえてこう書く)。

       来年は、米国で大統領選挙がある。

      今の予測では、次期大統領は共和党のトランプか民主党のヒラリークリントンだ。

      トランプは親プーチンで、ネオコン(イスラエル右派)に敵視されている。

      彼が勝つと、オバマと同様、軍産イスラエルを封じ込めてくれると期待できる。

      対照的にヒラリーは、イスラエル右派にすり寄る旧来型の手法で、イスラエル右派に対していろいろ約束させられているだろうから、彼女が当選すると、オバマとプーチンが今年やったことを逆流させようとするだろう。

       米政界は911後、軍産イスラエルに対し、積極的に傀儡になると簡単に当選でき、楯突くと落選させられる状態だった。

      だが今年、オバマとプーチンが中東で風穴を開けた結果、軍産イスラエルの政治力やプロパガンダの能力が低下している。

      トランプはこの状況を見て取り、従来の常識からすると型破りな、軍産イスラエル・マスゴミ複合体に楯突く姿勢をあえて採っている。

      トランプがどこまで勝ち進むかは、見えにくい複合体の力量を示すメーターでもある。

       再来年にオバマが任期切れで辞めた後、中東情勢が逆流するかもしれない。

      イスラエル政府は、露軍のシリア進出を黙って見ているが、オバマの任期が終わるのを待っているのかもしれない。

      オバマとプーチンとイランは、来年の1年間でISISを退治し、シリアとイラクを安定化する必要がある。

  50. 国家と戦争、軍産イスラエル (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      英国主導のウィーン体制大均衡化をめぐる米英100年の暗闘米国はリブートする

  51. 日本の官僚支配と沖縄米軍 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      東アジアで崩れる既存体制米朝で中国包囲網?中国包囲網で煙に巻くロシア・中国・インドを支援するブッシュ政権

  52. 真珠湾攻撃から始まる覇権分析 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      ロシア革命を支援したニューヨーク資本家小均衡から大均衡へもう一歩で世界制覇だったドイツ冷戦の本質

  53. 資本の論理と帝国の論理 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      ネオコンそのもののヒラリー民主党もみんなネオコン的ライスを次期大統領に推挙するネオコン見えにくい米中枢の暗闘「イスラエルのため」になっていないネオコンはシャロンを騙した?「百年戦争」としてのネオコン戦略世界を多極化し、イスラエルのせいにする腐っている二大政党制「石油高騰で儲けるため」は間違い

  54. 軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      金融を蘇生せず延命させるだけのQE日本も米国も生活水準が第三世界並みに下がる米連銀が無理して9月に利上げするかも

  55. 軍産複合体と闘うオバマ (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      1章:やがて破綻するドル国は財政と金融の両面が危機に米経済を底上げしてきた債券金融システム中産階級の没落で低下する米経済の力

  56. 近代の国際歴史観を紹介の目次 (106d)
    • 2018-04-13 (金) 18:51:11 by hikoichi 差分

      2016年3月23日  3月中旬に米国の月刊誌「アトランティック」が、4月号の記事として「オバマ・ドクトリン」と題する記事をネット上で発表した。

      米国の軍事・国際政治の分野において「ドクトリン」は「世界戦略の基本理念」を意味する。

      この記事は散漫で、非常に長い(この10年間のアトランティック誌で最も長い)ので基本理念を簡潔に示していないが、記事の最後に全体を要約するかたちでオバマ・ドクトリンとは何かが書いてある。

      「中東は、もはや米国にとって最重要な地域でなくなっている。大きな経済発展が期待される(東)アジアの方が重要だ」「今後、米国が中東に関与し続けても事態を改善できる点は少ない。米国の中東関与は軍事に偏重し、無数の米軍兵士が死に、米国の覇権が浪費されるだけだ」「世界は米国の覇権低下を望んでいない(だから米国は中東への介入を低下させざるを得ない)」「欧州の同盟諸国が中東への軍事介入に協力してくれないのが事態悪化の元凶だ」といった内容だ。

      要するにオバマ・ドクトリンは「米国は中東に対する関与を低下させていく」という宣言だ。

       この記事は、米国の中東戦略が好戦的な軍事偏重になっている理由について、サウジアラビアを筆頭とするアラブ諸国が、米国に政治圧力をかけ、米国の戦略を軍事偏重の方向にねじまげているからであり、オバマはこの点でサウジなどアラブ諸国を嫌悪していると書いている。

      実のところ、米国に圧力をかけて中東戦略を軍事偏重にしている勢力は、アラブよりもイスラエルだ。この記事を書いたジェフリー・ゴールドバーグは、NY生まれだが志願してイスラエル軍で兵士をした経歴を持つ、米国とイスラエルの二重国籍者でシオニストのユダヤ人だ。

      オバマはゴールドバーグに、何年もかけて自分を取材させている。

      オバマ・ドクトリンは、アラブ諸国に向けて発せられた宣言のように見せかけているが、実のところ、イスラエルに対して「米国は、もう中東から出て行くよ」と宣言するものになっている。

       オバマドクトリンの記事が発表された直後、ロシアのプーチン大統領が、昨秋からシリアに進出していた露軍の撤退を開始すると発表した。

      911以来、中東に15年も軍事介入して失敗し続け、中東撤退のドクトリンを発表せざるを得なくなった米国と対照的に、ロシアはわずか半年の軍事介入でシリアを安定化することに成功した。

      米国は、イラクとアフガニスタンの合計で1・6兆ドル(別の概算では6兆ドル)を費やしたが、ロシアのシリア進出は5億ドルしかかからなかった。

      両者の差は、3200倍もしくは8000倍だ。

       プーチンが異様にうまいのでなく、米国が異様に(未必の故意的に)下手くそだ。

      ロシアのシリア進出は成功裏に終わりつつあり、今後ロシアはシリア、イラン、イラク、レバノン、エジプトなど中東の広い範囲に対し、長期的に影響力を持つことが確定的になった。

      中東では、オバマドクトリンで示された米国の関与縮小と、ロシアの関与拡大が同時に起きており、中東での主役が米国からロシアに替わりつつある。

       今回の記事を、基本戦略の表明(ドクトリン)として見ると、それは「中東からの米国の撤退」になるが、この記事はもっと別の読み方もできる。

      それは、オバマが大統領になってからの7年間に、いかに軍産複合体(軍産)と熾烈に格闘(暗闘)してきたか、という部分だ。

      「軍産複合体」は1961年にアイゼンハワー大統領が退任時の演説で初めて存在を指摘したもので、私が見るところ、米国の軍隊(軍部)と軍事産業だけでなく、軍の関連機関である諜報界、戦争を利用する金融界、戦勝を目的とした歪曲された報道や分析(プロパガンダ)を発するマスコミや学術界や政府広報部門や市民団体、米国に好戦策を採らせて自国の国益を満たす外国の当局筋(特に英国とイスラエル)などが含まれる。

      オバマは今回の記事の中で「外交専門家」たちが、失策にしかつながらない好戦策ばかりを主張し、大統領である自分にやらせようとするといって怒っているが、この外交専門家たちは皆、軍産複合体の一部である。

       あらゆる近代国家は、戦争になると、平時と異なる有事の状態(非常事態)になり、平時に許されないはずの、報道の歪曲、国民への洗脳、政治や経済に関する自由の隠然とした制限・剥奪などが許される。

      権力層は、有事を理由に制限を取り払い、好き勝手にできる。

      権力層にとって、戦争は大変だが、有事を理由に勝手をやれるのは素晴らしい。

      形だけ戦争を継続し、それを口実に有事体制を恒久化できたら良いね、と為政者が夢見るのは自然だ。

      軍産は、その「夢」を実現する勢力である。

      米国は、第二次大戦後に軍産が形成されて以来、有事体制が解消されたことがほとんどない。

      終戦から朝鮮戦争までの約5年間と、冷戦終結から911までの約10年間だけが例外だ。

      オバマのドクトリンは、911以来のテロ戦争の有事体制を終わらせて平時に戻そうとする試みでもある。

       私の見立てだと、軍産複合体を結成したのは英国だ。

      米国は第二次大戦後、18世紀以来の覇権国だった英国から覇権を移譲されて単独覇権国になったが、米国は国連安保理の5カ国の常任理事会の体制に象徴されるように、自国の単独覇権体制でなく、米国と他の地域覇権国が対等に立ち並ぶ多極型の覇権体制を望んでいた。

      英国は、表向き米国に覇権を移譲しつつ、英国の在米の代理人たちが米国の外交戦略を牛耳るように仕組むことで、引き続き自国が隠然とした覇権国であり続けようとした。

      世界が多極型になると、この英国の戦略が機能しなくなる。

      英国勢は、米国の上層部(軍事産業や金融界)に「夢」の実現を持ちかけ、英チャーチル首相が米国を訪問して発した「鉄のカーテン演説」を皮切りに、米英と、ソ連や中国が恒久的に対立する有事体制である冷戦を開始させた。

      ソ連や中国の脅威は常に誇張され、脅威の誇張を指摘する者をアカ呼ばわりする体制が作られた。

       軍産体制下の米国は、常に「敵」の脅威を誇張する。

      本物の激しい戦争をすることは、国力を浪費するので望ましくない。

      敵の脅威を捏造・誇張し、空爆や弾道ミサイル発射や特殊部隊による(幻影的な)敵国潜入ぐらいでとどめ、有事体制を恒久化する。

      それが軍産の理想の戦略だ。

      「敵」との和解を提唱する政治家は「容共」「弱腰」と酷評され、悪者にされる。

      善悪を決める判定者はマスコミや外交専門家、つまり軍産だ。

      有事体制が続く限り、マスコミつまり軍産は、どんな世論が優勢かという分析も捏造歪曲し放題なので「世論はソ連を許さない」「国民は容共な大統領を弱腰だと思っている」などと書きまくる。

      当選したい候補者は、軍産を味方につけるしかない。

      再選されるには、中ソ(中露)の敵視や、軍事費の急増、英国やイスラエルとの同盟関係の維持を叫ぶのが良い。

      政界も、報道界も、学界も「ウソこそ真実」の逆転的な事態になって久しい。

      米国だけでなく、日本や欧州などの同盟諸国も同様の事態だ。

       軍産が存在しなかったとしても、もともと政治はウソこそ真実の世界だ。

      冷戦体制が恒久化しても構わないという考え方もできる。

      しかし経済面で見ると、冷戦体制は東側の経済停滞を生み、世界の半分しか経済成長できなかった。

      「第2冷戦」として構築されたテロ戦争の15年間、テロ戦争の戦場(敵)とされた中東諸国は大きく破壊された。

      軍産が支配する体制を壊さないと、世界経済の長期的な発展が阻害される。

      軍産による米英単独覇権体制よりも、もともと米国が終戦時に目指していた多極型の覇権体制の方が、世界経済の長期的な発展を実現できる(「経済専門家」の多くも歪曲勢力なので、このように書くと、軽信的な人々から「経済理論的に見て間違いだ」といった反論がくる)。

       人類全体の善悪観を操作する権限を保持する軍産に勝つのは容易でない。

      「脅威や善悪観が歪曲誇張されている」と主張しても馬鹿扱いされて終わる(本当は軽信させられている人類全体の方が馬鹿なのだが)。

      敵との和解の提唱も、容共や弱腰のレッテルを貼られる。

      正攻法では、軍産の体制を乗り越えられない。

      そこで、米国上層部で多極型への移行を試みる勢力が繰り返し挙行してきたのが、軍産による形だけの戦争を過激にやって本当の泥沼のひどい戦争へと悪化させ、米国の世論を厭戦的にして、軍産自身が戦争をやめたいと考えるように仕向け、挙国一致で戦争をやめる策に転じたついでに他の諸大国に地域覇権を移譲して世界を多極型に転換するという、回りくどい策だった。

       このやり方は、ベトナム戦争の泥沼化からニクソン訪中への流れ最初に試みられた。

      ニクソン大統領は、ベトナム戦争が泥沼化した後の1969年、世界に向かって「もうあまり軍事的に米国に頼らないでくれ」と宣言する多極化誘導の「ニクソン・ドクトリン」を発している。

      その後、同じやり方が、イラク戦争の泥沼化から、今回のオバマドクトリンへの流れで再び試みられている。

      オバマの中東退却策に「ドクトリン」の名前がつけられたのは、ニクソンのドクトリンを意識した感じだ。

      ニクソンは、ドクトリンの具体策の一つとして、サウジアラビアと、当時まだ親米国だったイランを中東の2つの地域大国とみなす方針を打ち出している。

      今回のオバマのドクトリンも、イラクとサウジアラビアがシーアとスンニの対立を乗り越えて「冷たい和平」を構築するよう求めている。

       さらに、ニクソンやオバマのドクトリンが示した転換策の亜流として存在するのが、世界各地の反共ゲリラ勢力を支援してソ連をアフガニスタンなどで戦争の泥沼に引きずり込んで潰し、冷戦を終わらせてしまう策につながった1980年代のレーガン・ドクトリンだ。

      このドクトリンに基づいて、米国が支援したアフガニスタンの反共ゲリラが、のちにアルカイダやタリバンといった反米イスラム過激派になり、911を契機に、今度はブッシュ政権の米国を戦争の泥沼に引きずり込む要因になった。

       911後、ブッシュ政権は、先制攻撃による政権転覆や単独覇権主義の強調、軍事を使った世界民主化の理念を盛り込んだ「テロ戦争」の理念として「ブッシュ・ドクトリン」を打ち出した。ブッシュとオバマのドクトリンは表裏一体の関係にあり、オバマのドクトリンはブッシュのドクトリンの終わりを宣言するものとなっている。

       今回のオバマ・ドクトリンは、ロシアや中国が強くなることが世界の安定のために必要だとも主張しており、中東だけでなく世界的な多極型覇権体制への転換を希求するものになっている。

      オバマは「中国がこのまま平和台頭するなら、いずれ中国は、国際秩序維持の負担を米国と分け合える存在になる」「同様に、弱いロシアも米国にとって良くない」と述べている。

      中国と米国が、国際秩序維持の負担、つまり覇権を分け合う存在が望ましいと言っているオバマは、多極主義者である。

      オバマは「中国政府が自国民を満足させられず、影響圏拡大のみに終始したら、中国と対立関係になるだけでなく、米国が世界の問題を解決するのがより大変なことになる」と述べ、中国が「良い国」になって米中協調できる態勢になることが必須だと言って、一応軍産内のリベラル派の主張を採り入れてみせている。

       半面オバマは、英国のキャメロン首相や、フランスのサルコジ前大統領を、口だけ好戦的だが実働面で米国の軍事行動を十分に助けたがらなかったと酷評している。

      特にリビアへの軍事介入において、オバマは、英仏がもっと軍事行動をするだろうと期待していたが裏切られ、もう英仏に期待できないので米国も軍事策をやめざるを得なくなったと言っている。

      口だけ好戦的で実働しなかった英仏は、伝統的な軍産として振舞ったわけだが、オバマは「隠れ多極主義」的なネオコンの理論を借りてきて、過激な軍事策についてこない英仏は同盟国として失格だ、と主張している。

      泥沼から抜けるために中東を撤退せざるを得ないという「現実主義者」(リアリスト)の理論と、英仏は好戦性が足りないので同盟国じゃないという「理想主義者」(ネオコン、ネオリベラル)の理論の両方が混在するオバマは不可解だと評されているが、混在させるのは目くらましの戦法だろう。

       オバマは好戦派を嫌う姿勢を見せているが、大統領府の側近たちの中に多くの好戦派を入れた人選は、オバマ自身が決定したものだと、今回の記事の中で説明されている。

      オバマは、好戦派たちを側近に配置して過激な軍事策をやらせ、それらが次々と失敗するたびに、それを契機に現実策に転換し、ロシアやイランに中東の国際秩序の運営を任せる状態に導いている。

      ニクソン以来、何度も繰り返されてきた歴代米政権の隠れ多極主義的な転換を見ると、オバマのやり方も意図的な戦略に見える。

       これまでの長い暗闘の歴史から考えて、来年からの米国の次の政権は、誰が大統領になるにせよ、オバマドクトリンの方向性を継承するだろう。

      トランプが表明している政策は、オバマがドクトリンで打ち出した理念とよく似ている。

      クリントンが大統領になった場合は、トランプになる場合より軍産に配慮する傾向になりそうだが、現実策から好戦策に逆流していくことは困難で、好戦策を打ち出しては失敗して現実策に転換することが繰り返される(つまりオバマがやったことの繰り返しになる)可能性の方が高い。

       軍産の一部(テロ戦争の主導役)だったイスラエルは、オバマドクトリンに対し、現実主義者として対応している。

      イスラエル軍の制服組のナンバー2である副参謀長(Yair Golan)は最近「米国が好戦策をやめて、明確な脅威に対してのみ軍事策を使う現実策に転換し始めたのだから、イスラエルも同様に(ヒズボラやイラン、シリアなどの)敵の脅威を現実的に分析して対応し、軍事力の行使を急がない策をやるべきだ」「イスラエルは、ヒズボラを潰せる軍事力を持っているからと言って、ヒズボラに戦争を仕掛けるべきでない」「ロシアの上層部は才能があるし賢い。われわれシリア内戦に関して、ロシア軍の上層部と実利的な対話をしている」などと述べ、オバマのドクトリンに同調する姿勢を見せたと報じられている。

       英国やイスラエルは、米国の覇権を牛耳る策ができなくなっている。

      軍産と英イスラエルの複合体から、英イスラエルが離脱している。

      これは、軍産複合体の終わりになるのだろうか。

      それとも、レーガンがやった冷戦終結で英国が軍産と切り離されたあと、イスラエルが軍産との結束を強めて911を誘発し、イスラエルに有利な「第2冷戦」たるテロ戦争につなげたように、軍産は今後、単独で、もしくは英イスラエル以外の誰かと結託し「第3冷戦」的な新たな恒久的なやらせ戦争の体制作りを目論むのか?。

       目論むとしたら、どんな策なのか。

      たとえば、日本が対米従属の維持を目的に米国の軍産と結託し、中国と戦争して米国を巻き込む策をやるといったことがあり得るのか?。

      オバマ・ドクトリンの記事は日本については一言も言及していない。

      日本が「第3冷戦」の誘導役になる可能性は、今のところ低い。

      しかし、すでに書いたように、軍産は為政者にとってとても都合の良い道具だ。

      軍産が、このまますんなり雲散霧消していくとは思えない。

      これから10年間ぐらいの国際情勢の中心は、軍産の行く末がどうなるかと、そのことの裏側として、多極化がどうなるかになりそうだ。

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